小規模事業者持続化補助金は、エステサロンも申請できる補助金です。商業・サービス業として従業員5人以下なら対象になりますが、回数券を販売しているサロンは契約が特定継続的役務提供に該当する点を経営計画書に反映する必要があります。本記事では対象になる経費、回数券契約の注意点、補助上限額の仕組みを2026年9月時点の情報で整理します。
※ 2026年9月時点の情報です。第20回(2026年12月15日締切)の公募要領を基準にしています。
この記事でわかること
- エステサロンが対象になる従業員数の基準
- 広報費・ウェブサイト関連費・機械装置等費の対象範囲
- 回数券契約を経営計画書にどう反映するか
- 補助上限額と補助率の仕組み
商業・サービス業として対象、エステサロンの従業員5人以下の数え方
エステサロンは商業・サービス業に区分され、常時使用する従業員が5人以下なら小規模事業者として対象になります。個人経営の一人サロンも、スタッフを雇う法人サロンも、この人数要件で判定されます。
中小企業庁が公開している業種別の定義によると、商業・サービス業の小規模事業者は常時使用する従業員5人以下と定められています。役員や同居の親族従業員、育児休業中のスタッフは、この人数から除外されます。
私も相談の現場で、「スタッフが多いから対象外だと思っていた」というエステサロンオーナーに何人も出会ってきました。実際には業務委託契約の施術者やパート・アルバイトの数え方次第で、対象になるケースが少なくありません。判断に迷う場合は、申請前に管轄の商工会・商工会議所へ確認しておくと安心です。
業務委託契約で施術を任せているフリーランスの施術者は、常時使用する従業員には含めません。一方、雇用契約を結んで週数日だけ働くパート・アルバイトは、労働時間にかかわらず人数に算入する扱いが基本です。複数店舗を運営しているサロンは、全店舗の従業員数を合算して判定される点にも注意してください。
事業所の所在地によって、申請先は「商工会議所地区」と「商工会地区」のどちらかに分かれます。同じ制度でも受付窓口が異なるため、自分のサロンがどちらの管轄かを、電子申請の前に必ず確認しておいてください。管轄を取り違えると、事業支援計画書の発行手続きからやり直しになる場合があります。
個人事業主の採択率や書類の傾向は小規模事業者持続化補助金|個人事業主の採択率47.2%と対策で詳しく解説しています。
広報費・ウェブサイト関連費・機械装置等費、対象になる経費の早見表
エステサロンは広報費とウェブサイト関連費が各上限30万円、痩身・美顔機器の導入は機械装置等費で対象になります。内装の単純な改装や老朽設備の入れ替えは対象外です。
| 経費区分 | エステサロンでの具体例 | 上限・注意点 |
|---|---|---|
| 広報費 | チラシ・SNS広告・雑誌広告の制作費 | 上限30万円(第20回) |
| ウェブサイト関連費 | 予約LP・SNSキャンペーンページの制作費 | 上限30万円、単独申請不可 |
| 機械装置等費 | 痩身機器・美顔機器(EMS・ラジオ波等)の導入費 | 単純な老朽更新は対象外 |
| 開発費 | オリジナル施術メニューの試作費 | 販路開拓につながる説明が必要 |


広報費とウェブサイト関連費は、単独では申請できません。必ず他の経費区分と組み合わせる必要があります。たとえば、痩身機器の導入(機械装置等費)と、新メニューを告知する予約LPの制作(ウェブサイト関連費)をセットで計画します。機器投資と集客施策がつながった一連の販路開拓として、審査員に伝わりやすくなります。
美容機器の対象可否には医師法上の境界線もあります。医療用レーザー脱毛機を導入したい場合の注意点はものづくり補助金はエステサロン向け、脱毛機3タイプの対象可否で詳しく解説しています。
回数券契約は特定継続的役務提供、経営計画書でどう開示するか
契約金額5万円超・期間1か月超の回数券販売は特定継続的役務提供に該当し、経営計画書にも契約条件の整備方針を書く必要があります。「販路開拓の話だから関係ない」と考えて見落とすオーナーが少なくありません。
契約金額5万円超・期間1ヶ月超のエステ契約は特定継続的役務提供に指定され、契約書面受領から8日間はクーリングオフの対象になります(名古屋市消費生活センターの解説)。
経営計画書の「販路開拓等の取組」欄では、新メニューの回数券販売をどう進めるかを書きます。それだけでなく、契約書面をどう整備し直すかまで書いておくと、審査員に実務の準備が整っている印象を与えられます。広告で回数券を訴求する場合、中途解約時の返金ルールを明記した契約書面の有無が、実行段階でのつまずきを左右します。
私が相談を受けたサロンの中にも、回数券の販売条件だけを整えて契約書面の見直しを後回しにし、採択後の実行段階で慌てて商工会に相談し直したケースがありました。経営計画書を書く時点で契約書面の整備方針まで決めておくと、実行段階で迷わずに済みます。
痩身・美顔機器は機械装置等費、投資規模で見るものづくり補助金との使い分け
数十万円規模の痩身・美顔機器の投資は持続化補助金、数百万円規模の複合機導入はものづくり補助金が向きます。同じ「機械装置」でも、投資規模によって使うべき制度が変わります。
持続化補助金の機械装置等費は、既存メニューを補強する小規模な機器導入に向いています。たとえば、既存の痩身メニューにEMS機器を1台追加するようなケースです。一方、複数の施術を統合した大型複合機の導入や、店舗全体の設備刷新は、補助上限額の大きいものづくり補助金のほうが投資額に見合います。
ITツールの導入だけを検討している場合は、美容室のIT導入補助金|対象ツール3分野と対象外の注意点も参考になります。予約管理システムや顧客管理システムのようなソフト単体導入は、機械装置を伴わないためIT導入補助金のほうが手続きが軽くなります。
投資内容を「既存メニューの補強か」「新たな設備投資か」で整理すると、どの制度に申請すべきかを判断しやすくなります。
たとえば、既存の痩身メニューにEMS機器を1台追加する80万円ほどの投資であれば、持続化補助金の機械装置等費で十分にまかなえます。一方、脱毛・痩身・美顔を1台で行う複合機の導入は、規模が800万円ほどに膨らむこともあります。
施術メニュー全体を刷新するこの規模の投資なら、補助上限額の大きいものづくり補助金のほうが自己負担を抑えられます。迷ったときは、投資額と補助上限額のバランスから逆算して制度を選ぶと判断がぶれません。
予約稼働率と新規客数で語る経営計画書の数値目標
エステサロンの経営計画書は、客単価だけでなく予約枠の稼働率や新規客数を数値目標にすると、審査員に販路開拓効果が伝わりやすくなります。機能や設備を並べるだけでは、生産性向上の実感が伝わりません。
たとえば、平日午前の予約枠稼働率が40%にとどまっているサロンが、新メニューの広報施策で60%まで引き上げる計画だったとします。根拠となる過去3か月の予約データとあわせて示すと、説得力が増します。新規客数についても、「月3人増」のように時期と数値をセットで書くと、審査員が計画審査で評価しやすくなります。
数値目標は感覚値ではなく、実際の予約台帳やPOSデータから積み上げてください。計測期間は最低でも直近3か月分を使うと、季節変動によるブレを説明しやすくなります。
私が支援したサロンの中には、平日午前の予約枠が空きがちだった原因を予約台帳で洗い出し、「平日午前限定メニュー」を新設して稼働率を引き上げる計画に落とし込んだ例もありました。機能を並べるだけでなく、空いている時間帯や離脱しやすい客層を数字で特定してから施策を組み立てると、審査員にも実現可能性が伝わりやすくなります。
第20回の加点項目とスケジュール、12月15日締切に向けた準備
第20回は2026年11月5日に申請受付が始まり、12月15日17時に締め切られます。補助上限額は通常枠で50万円、特例を組み合わせると最大250万円まで拡大します。

補助率は3分の2です。賃金引上げ特例を満たすと上限額に150万円が上乗せされ、インボイス特例を満たすと50万円が上乗せされます。両方を満たすと合計250万円まで拡大し、賃金引上げ特例の対象になる赤字事業者は補助率が4分の3に引き上がります。
このほか、健康経営優良法人の認定を受けている、または事業所の都道府県で最低賃金の引き上げ額が一定基準を満たすと、審査で加点される仕組みもあります。該当するかどうかは公募要領のチェック欄で確認でき、追加の書類作成なしに選択するだけで加点されるため、該当項目は必ず漏れなくチェックしてください。
商工会・商工会議所が発行する「事業支援計画書」は、12月4日までに発行を受け付けています。この書類が無いと電子申請ができないため、経営計画書ができたら締切の1〜2週間前には窓口へ持ち込んでください。窓口が混み合う締切直前は、相談から発行までに数日かかることも珍しくありません。
採択発表はおおむね公募締切の3か月後を予定しており、補助事業の実施期間は採択後から1年前後です。小規模事業者持続化補助金の公式サイトで、最新のスケジュールと公募要領を確認できます。
経営計画書8項目の具体的な書き方は小規模事業者持続化補助金|美容室の書き方4ステップで解説しています。業種は異なりますが、経営計画の型はエステサロンでも共通です。
当社は登録支援事業者として、対象ツールの選定から申請書類の作成、採択後の実績報告まで一貫して支援しています。弊社はMEO運用サービス「G-ran」で通算3,200店舗以上を運用してきました。エステサロンを含む店舗ビジネスの投資判断に関する相談を数多く受けてきており、回数券契約を軸にした経営計画書の書き方に迷う場合も、無料相談で投資内容をお聞かせください。
まとめ: エステサロンは対象経費と回数券契約の開示がカギ
小規模事業者持続化補助金は、エステサロンも申請できる制度です。商業・サービス業として従業員5人以下なら対象になり、広報費・ウェブサイト関連費・機械装置等費が主な対象経費になります。
回数券を販売しているサロンは、契約が特定継続的役務提供に該当する点を経営計画書に反映しておくことが、実行段階でのつまずきを防ぎます。補助上限額は通常枠50万円から、特例を組み合わせると最大250万円まで拡大するため、自店の投資規模に合わせて特例の該当有無を早めに確認してください。
私たちは2020年3月の創業以来、大阪市東成区を拠点に登録支援事業者として申請支援に携わってきました。対象経費や回数券契約の書き方に迷う場合は、無料相談で投資内容をお聞かせください。
