東京都の建設業電子申請「JCIP」は2023年10月23日午前9時に始まり、手数料の支払い方法はペイジー決済のみで収入証紙は使えません。さらに対応金融機関に条件があり、楽天銀行のオンライン方式では決済できない点が実務上の落とし穴です。東京都は全国で最も建設業許可業者数が多い自治体で、事業承継等の認可申請だけは引き続き書面での手続きが必要です。
※ 2026年9月時点の情報です。制度は変更されることがあるため、申請前に東京都の最新の案内を確認してください。
この記事でわかること
- 東京都でJCIP電子申請が使える手続きの範囲
- 手数料がペイジー決済に限られる理由
- 楽天銀行のオンライン方式が使えない注意点
- 電子申請の問い合わせ窓口
東京都のJCIPは2023年10月23日開始、全国最多の許可業者数を支える制度
東京都は2023年10月23日午前9時からJCIPでの電子申請を開始しました。東京都都市整備局の案内によると、窓口での書面申請も従来どおり受け付けています。
国土交通省の調査では、東京都の建設業許可業者数は44,655業者で全国最多、全体の9.2%を占めています(令和7年3月末現在)。許可業者の数がもっとも多い自治体だからこそ、電子申請の対応可否が実務に与える影響も他県より大きくなります。
| 順位 | 都道府県 | 許可業者数 | 全国シェア |
|---|---|---|---|
| 1位 | 東京都 | 44,655業者 | 9.2% |
| 2位 | 大阪府 | 41,645業者 | 8.6% |
| 3位 | 神奈川県 | 29,464業者 | 6.1% |
私たちは登録支援事業者として建設業のお客様からAI導入補助金のご相談をいただいています。その中で気づくのは、東京都は許可業者の母数が大きい分、支払い方法の制限に気づかず申請直前で止まる会社が多いということです。同じJCIPでも都道府県ごとに手数料の払い方や対応範囲が異なるため、他県の情報をそのまま東京都に当てはめると手戻りが発生します。
対応する手続きと、事業承継等の認可申請という例外
新規許可・業種追加・更新・各種変更届・廃業届・経営事項審査が電子申請の対象で、事業承継等の認可申請だけは対象外です。この線引きを知っておけば、自社の手続きが電子化の対象かどうかすぐに判断できます。
| 手続き | 電子申請(JCIP) |
|---|---|
| 新規許可・業種追加・更新 | 対応 |
| 各種変更届(決算変更届を含む)・廃業届 | 対応 |
| 経営事項審査(経審) | 対応 |
| 事業承継等の認可申請 | 非対応(書面のみ) |
決算変更届は毎年発生する手続きのため、電子化の恩恵をもっとも受けやすい手続きだといえます。工事経歴書や財務諸表の提出を紙で毎年行っていた会社ほど、切り替えのメリットは大きくなります。
事業承継やM&Aで許可を引き継ぐ予定がある会社は、認可申請だけは書面での手続きが必要になる点を事前に確認しておいてください。
手数料はペイジー決済のみ|収入証紙は使えない
東京都の手数料は「Pay-easy(ペイジー)」による電子納付のみで、収入証紙を使う方法は用意されていません。インターネットバンキングを契約していない会社にとっては、大阪府のようなPOS用紙郵送のような代替手段がない点が実務上の負担になります。
収入証紙での支払いに慣れている会社ほど、東京都はペイジー決済しか選べない点を見落としがちです。更新や経審の予定が決まっている会社は、対応金融機関のインターネットバンキング契約があるかを先に確認してください。
契約がまだない場合は、口座開設からペイジー決済の設定まで一定の日数がかかることを見込んで、余裕を持ったスケジュールを組んでおくことをおすすめします。経理担当者が複数いる会社では、誰がペイジー決済を操作できるアカウントを持っているかも、事前に社内で確認しておくと当日の手戻りを防げます。
楽天銀行のオンライン方式は対象金融機関に含まれない
ペイジー決済に対応する金融機関は限られており、楽天銀行のオンライン方式は対象外です。「ネットバンキングがあるからペイジーも使えるはず」と思い込んでいると、決済の段階でつまずきます。
ペイジー対応の金融機関は、決済代行事業者であるウェルネット株式会社のホームページで確認できます。楽天銀行のオンライン方式のように対象外の銀行があるため、経理担当の口座がどの銀行かを先に確認しておいてください。

自社のメインバンクがペイジー非対応だった場合、別の金融機関の口座を新たに用意するか、対応済みの部署・担当者の口座を借りるかを決めておく必要があります。この確認を後回しにすると、申請書類の入力が終わった段階で決済だけができない事態になります。新規に口座を作る場合は、開設から利用開始まで数週間かかることもあるため、更新期限からの逆算が欠かせません。
GビズIDの取得が電子申請の入り口になる
JCIPを利用するには、デジタル庁が所管するGビズIDを事前に取得しておく必要があります。GビズIDがなければ、そもそもJCIPにログインすることができません。
GビズID公式のご利用ガイドに沿って、法人代表者または個人事業主本人が申請します。行政書士に手続きを委任する場合は、依頼者・行政書士の双方がGビズIDを持っている必要があるため、委任先が決まった時点で早めに取得を進めてください。
社内で複数の担当者がJCIPを操作する場合は、代表者がプライムを取得したうえで、担当社員ごとにメンバーアカウントを発行する運用が現実的です。行政書士に委任する場合も、委任先の行政書士にメンバーアカウントを発行して操作を任せる方法が使われています。「エントリーで代用できないか」という問い合わせをよく受けますが、JCIPの操作自体ができないため代用はできません。
東京都で電子申請を始める4つの手順
GビズIDの取得から手数料の決済まで、4つの手順で申請が完了します。手順自体はシンプルですが、対応金融機関の確認とGビズIDの取得は前倒しで進める必要があります。

ステップ1: GビズIDを事前に取得する
法人代表者または個人事業主本人が、GビズIDプライムを申請します。行政書士に委任する場合は委任設定もあわせて行います。
ステップ2: JCIPにログインする
取得したGビズIDでJCIPにログインします。初回はシステムの案内に沿って基本情報を登録します。
ステップ3: 申請書類を入力する
許可申請・変更届・経審のいずれかを選び、必要事項を入力します。添付書類はPDF等の電子データでアップロードします。
ステップ4: ペイジーで手数料を決済する
対応金融機関のインターネットバンキングからペイジーで手数料を納付し、申請を完了します。
問い合わせ窓口は建設業課の内線1本
東京都の電子申請に関する問い合わせは、都市整備局市街地建築部建設業課が窓口です。神奈川県と同様に単一窓口のため、操作とGビズIDのどちらで困っているかを整理してから連絡すると案内がスムーズです。
連絡先は代表番号03-5321-1111、内線30-651または653です。GビズIDそのものの取得に関する問い合わせは、GビズID専用のヘルプデスクが窓口になる点は他県と同じです。
福岡県のように本庁と県土整備事務所で窓口が分かれておらず、都市整備局建設業課に一本化されている点は東京都の利点です。問い合わせ先を迷う手間が少ない分、事前に「操作の不具合なのか」「制度上できない手続きなのか」を自分の中で切り分けてから電話をかけると、案内までの時間を短縮できます。GビズIDの取得状況やペイジー対応金融機関の確認結果もあわせてメモしておくと、電話口での説明がスムーズに進みます。
建設業許可の窓口とAI導入補助金の相談先は別物
JCIPは建設業許可・経審の手続きを扱う窓口で、施工管理アプリなどのツール導入を補助金で進める相談は登録支援事業者が窓口です。この2つを混同すると、相談内容がかみ合わなくなります。
私たちセブンセンシズ株式会社は、AI導入補助金の登録支援事業者として、対象ツールの選定から申請書類の作成、採択後の実績報告まで一貫して支援しています。JCIPでの許可申請そのものは行政書士や都の窓口が扱う領域です。
この2つの制度・窓口の違いは建設業の電子申請システムはIT導入補助金の対象になる?3つの誤解でも詳しく整理しています。電子申請を代行してもらいたい場合の行政書士への依頼費用は建設業の電子申請は行政書士に依頼すべき?費用相場3つの基準で解説しています。実績報告の証憑整理は建設業の実績報告書|下請け構造でも迷わない3つの証憑ポイントにまとめています。
電子申請に切り替えるかどうかの判断基準
毎年発生する決算変更届や、数年おきの更新・経審が控えている会社ほど、電子申請への切り替えメリットが大きくなります。逆に、今後しばらく手続きの予定がない会社は、急いで切り替える必要はありません。

判断に迷う場合は、直近1〜2年以内に更新・経審・決算変更届のいずれかを予定しているかどうかを基準にしてください。予定があるなら、対応金融機関の確認から始めるのが効率的です。予定がまだ先の会社は、制度の仕組みを把握しておくだけでも、いざというときに慌てずに済みます。
決算変更届は毎年提出する手続きのため、一度電子申請の流れに慣れてしまえば、翌年以降の事務負担は書面申請より軽くなります。逆に、更新まで数年ある会社が急いで切り替えても、GビズIDの管理担当が変わった際に引き継ぎが必要になるだけで、メリットを実感しづらいこともあります。自社の申請サイクルに合わせて切り替え時期を決めることが、遠回りに見えて結果的に近道です。
まとめ: 東京都の電子申請は「ペイジーの対応金融機関」を先に確認する
東京都の建設業電子申請「JCIP」は2023年10月23日に始まり、書面申請と選べる状態が続いています。判断の軸はシンプルで、手数料はペイジー決済のみである点と、対応金融機関に楽天銀行のオンライン方式が含まれていない点の2つです。
事業承継等の認可申請だけが対象外である点、ペイジーの対応金融機関を事前に確認すべき点は、特に見落としやすい注意点です。更新や経審の予定が決まっている会社は、今日のうちに自社の口座がペイジーに対応しているかを確認することから始めてみてください。
許可申請そのものは都の窓口や行政書士の領域です。施工管理や電子契約のツール導入をIT導入補助金で検討している場合は、登録支援事業者への相談も並行して進めてみてください。判断に迷う場合は、無料相談で状況を整理することもできます。
