補助金

社会保険の電子申請義務化|中小企業が対象になる3つの条件

公開: 2026年9月2日執筆: 原口優(代表取締役)読了目安: 8分

本記事は2026年9月時点の情報です|この記事は社会保険・労働保険の手続きを担当していて、電子申請義務化が自社に関係あるか確認したい中小企業の経営者・総務担当者向けです

社会保険の電子申請義務化は、資本金1億円超の法人と一部の労働安全衛生手続きが対象で、大半の中小企業は現時点で対象外です。2020年4月に資本金基準で始まった義務化に、2025年1月から従業員数基準の手続きが加わりました。「うちも対象になったのでは」と不安になった経営者・担当者に向けて、対象になる条件と、対象外でも電子申請を始めておく理由を整理します。

社会保険の電子申請義務化は、資本金1億円超の法人と一部の労働安全衛生手続きが対象で、大半の中小企業は現時点で対象外です。2020年4月に資本金基準で始まった義務化に、2025年1月から従業員数基準の手続きが加わりました。「うちも対象になったのでは」と不安になった経営者・担当者に向けて、対象になる条件と、対象外でも電子申請を始めておく理由を整理します。

この記事は、社会保険・労働保険の手続きを担当していて、電子申請義務化が自社に関係あるか確認したい中小企業の経営者・総務担当者向けです。

※ 2026年9月時点の情報です。制度の対象範囲は今後見直される可能性があるため、最新情報は厚生労働省・e-Govの公式サイトでも確認してください。

この記事でわかること

  • 社会保険の電子申請義務化の対象になる3つの条件
  • 中小企業が義務化の対象になるかどうかの判断基準
  • 2025年1月から新たに加わった手続きの範囲
  • 電子申請を始めるための具体的な準備手順

社会保険の電子申請義務化とは何か

社会保険の電子申請義務化とは、一定の要件を満たす事業者に、社会保険・労働保険の主要な手続きを義務づける制度です。e-Gov電子申請システム経由での手続きが対象になり、窓口や郵送での書面提出に代えて、オンラインでの申請が原則となります。

前提となる考え方は、介護事業所の電子申請・届出システムとは?義務化はいつからかで解説しています。

電子申請義務化とは、健康保険・厚生年金保険の被保険者報酬月額算定基礎届や、労働保険の年度更新申告など、主要な手続きを電子的な方法でのみ行うよう定めた制度です。対象は法律で定められた要件を満たす事業者に限られ、全事業者が一律の対象ではありません。

ジンジャーの社会保険電子申請の解説記事でも、義務化の対象は資本金などが1億円を超える法人と、相互会社・投資法人・特定目的会社に限られると説明されています。中小企業だからという理由だけで対象になるわけではなく、まず資本金の額を確認することが判断の出発点になります。

義務化の対象になる主要手続きには、健康保険・厚生年金保険の被保険者報酬月額算定基礎届、被保険者賞与支払届が含まれます。労働保険の年度更新に関する申告も対象です。いずれも年に一度は必ず発生する定型的な手続きのため、対象法人にとっては窓口対応の負担が大きい項目です。

逆に言えば、これらの手続きを紙で提出している資本金1億円超の法人は、義務違反の状態になっている可能性があります。早急に自社の対応状況を確認してください。

中小企業は対象になるのか|資本金1億円が分かれ目

中小企業が社会保険の主要手続きで電子申請を義務づけられるかは、従業員数ではなく資本金1億円超かどうかで決まります。2020年4月以降に開始する事業年度から、この基準を満たす「特定法人」が対象になりました。

会社法上の中小企業に該当していても、資本金が1億円を超えていれば義務化の対象です。逆に従業員数が多くても、資本金が1億円以下であれば主要手続きの電子申請義務化には該当しません。多くの中小企業にとって、社会保険・労働保険の主要手続き自体はまだ義務化の対象外というのが2026年9月時点の実態です。

電子申請が義務になる3つの条件を示す図解
資本金・従業員数・対象手続きの3条件のいずれかで判定します

2025年1月から新たに対象が広がった手続き

2025年1月1日から、常時50人以上の労働者を使う事業場は、労働安全衛生法関係の一部手続きで電子申請が原則義務化されました。資本金の基準とは別に、従業員数を基準にした義務化が新たに始まっています。

東京労働局の公式ページによると、対象になるのは労働者死傷病報告・定期健康診断結果報告・心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告・総括安全衛生管理者等の選任報告などです。定期健康診断結果報告はもともと常時50人以上の事業場にのみ提出義務があり、今回の改正で提出方法が電子申請に一本化された形です。

手続き 対象事業場の目安
労働者死傷病報告 常時50人以上の労働者を使用
定期健康診断結果報告 常時50人以上の労働者を使用
心理的負担の検査結果等報告(ストレスチェック) 常時50人以上の労働者を使用
総括安全衛生管理者等の選任報告 常時50人以上の労働者を使用

従業員数が50人前後で増減する事業場は、時期によって義務化の対象が変わる点に注意してください。人員が増えて基準を超えたタイミングを見落とすと、書面提出のまま義務違反の状態になりかねません。

電子申請の環境がない場合はどうなるか

電子申請の対象であっても、パソコンなどの環境が整っていない事業者には、当分の間の経過措置として書面提出が認められています。義務化の対象になったからといって、即座に環境整備ができなければ手続きが止まってしまうわけではありません。

経過措置は、電子申請を行う端末を保有していない、インターネット環境が整っていないといった事情がある場合に適用されます。窓口や社労士に相談しながら書面で対応してきた事業者にとっては、実務上ありがたい猶予といえます。

ただし、これはあくまで一時的な救済措置であり、恒久的に書面提出を続けられる保証ではありません。デジタル化の流れそのものが止まるわけではない点も、あわせて頭に入れておく必要があります。「経過措置があるから今は何もしなくてよい」と受け取ってしまうと、いずれ環境整備が追いつかなくなります。対象になった時点で、GビズIDの取得だけでも先に済ませておくほうが安全です。

実際には、労働者死傷病報告のように経過措置の対象から外れ、電子申請以外の方法が原則認められない手続きもあります。手続きごとの経過措置の扱いは一律ではなく、見落としやすい落とし穴です。対象になる可能性がある事業者は、どの手続きが経過措置の対象かを事前に確認しておいてください。

ここまでの内容が自社に当てはまるか、確認しませんか。

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電子申請が義務になる3つの条件

義務化の対象かどうかは、次の3条件のどれかに当てはまるかで判定できます。この整理を先に押さえておくと、自社の対応方針を決めやすくなります。

対象になる範囲は、建設業の電子申請システムはIT導入補助金の対象になる?3つの誤解で解説しています。

  1. 資本金1億円超の法人(相互会社・投資法人・特定目的会社を含む)である
  2. 常時50人以上の労働者を使用し、労働安全衛生法関係の対象手続きが発生する
  3. 上記のどちらにも当てはまらない(この場合、電子申請は任意)

私たちが補助金の申請支援をする中でも、「うちは中小企業だから対象外」と思い込んだまま資本金要件を確認していない経営者に何人も出会ってきました。条件1と条件2は独立した基準なので、資本金が1億円以下でも従業員数が50人を超えていれば、条件2の対象手続きだけは義務化されます。判断の分かれ目は、資本金と従業員数の両方を別々に確認したかどうか。

義務化の対象外でも電子申請を始めるべき理由

義務化の対象外であっても、電子申請には窓口往復の削減や手続きの迅速化という実務上のメリットがあります。義務だから仕方なく対応するのではなく、業務効率化の手段として前向きに検討する価値があります。

紙の申請書を労働基準監督署や年金事務所へ持参・郵送する手間がなくなる点は、総務担当者が兼務で手続きを行っている中小企業ほど効果を実感しやすい部分です。加えて、電子申請の入り口となるGビズIDは、社会保険・労働保険の手続きだけでなく補助金の電子申請にも共通で使えるアカウントです。

算定基礎届の提出時期にあたる7月は、年金事務所の窓口や電話がとくに混み合います。電子申請なら受付時間を気にせず提出でき、受理状況もオンラインで確認できます。窓口に出向く時間を別の業務に充てられる点は、担当者が少人数の中小企業ほど効果が大きくなります。

当社はAI導入補助金の登録支援事業者として、対象ツールの選定から申請書類の作成、採択後の実績報告まで一貫して支援しています。補助金の電子申請とGビズIDの取得を先に済ませておけば、社会保険手続きの電子化にもそのまま流用できます。どちらか一方だけを目的に取得するより、準備の手間が減ります。

なお、補助金そのものの電子申請が中小企業に事実上必須になっている経緯は、補助金の電子申請はいつから義務化?中小企業が今やることで扱っています。本記事のテーマである社会保険・労働保険の手続きとは対象・根拠となる制度が異なるため、あわせて確認すると全体像が整理しやすくなります。

GビズIDを取得して電子申請を始める4ステップ

電子申請を始める最初の一歩は、GビズIDプライムを取得することです。オンライン申請ならマイナンバーカードとスマートフォンがあれば最短即日で発行されます。

電子申請を始めるまでの4ステップを示す図解
対象条件の確認からGビズID取得、e-Gov連携までの流れです
  1. 資本金と従業員数を確認し、自社が3条件のどれに当てはまるか判定する
  2. GビズIDプライムを取得する(オンラインはマイナンバーカード、書類申請は印鑑証明書が必要)
  3. 取得したGビズIDでe-Gov電子申請システムのアカウントと連携する
  4. 資格取得届や算定基礎届など、扱いやすい手続きから電子申請を試す

GビズIDプライムの取得手順や必要書類の違いは、AI導入補助金のGビズID取得方法|プライム取得の5つの手順でより詳しく解説しています。補助金の電子申請でGビズIDが必要になる場面も多いため、社会保険手続きの準備と合わせて取得しておくと二度手間になりません。

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義務化対応でよくある失敗と注意点

義務化対応でつまずくのは、条件の確認不足と、GビズID取得の後回しがほとんどの原因です。対象になってから慌てて準備を始めると、審査に日数がかかる書類申請では間に合わないことがあります。

義務化対応のNG例とOK例を示す図解
対象外でも早めに準備しておくことが失敗を避けるポイントです
注意: 「対象外だから今は不要」は危険
従業員数は年間を通じて変動します。増員で常時50人以上になった時点から対象手続きの電子申請が必要になるため、対象外の間に準備だけ済ませておくほうが安全です。

私も相談の現場で、GビズIDプライムを取得していないまま補助金の申請期限が迫り、書類申請では間に合わずに焦っているという声を聞くことがあります。書類申請は印鑑証明書の郵送を含めて審査完了まで最大1か月程度、対して申請書提出のみのオンラインなら最短即日。この日数差が、期限直前の焦りを分ける最大の要因です。義務化の対象かどうかにかかわらず、早めに取得しておいてください。

まとめ|自社が対象かをまず確認する

社会保険の電子申請義務化は、資本金1億円超の法人と、常時50人以上の事業場が対象の労働安全衛生法関係の一部手続きに限られます。多くの中小企業は現時点で主要手続きの義務化対象外ですが、従業員数の増減によって対象が変わる点には注意が必要です。

義務化の対象かどうかにかかわらず、電子申請にはメリットがあります。まずは自社の資本金と従業員数を確認し、対象外であっても早めにGビズIDプライムを取得しておくと、社会保険手続きと補助金申請の両方をスムーズに進められます。

対象ツールの選び方から確認したい方は、AI導入補助金の対象ツール6分野|対象外との見分け方もあわせてご確認ください。電子申請の準備と合わせて、業務効率化ツールの導入を補助金で進める選択肢も検討できます。

私たちが申請支援の相談で感じるのは、義務化への対応と補助金の活用を別々に進めている企業が多いという点です。GビズIDの取得やITツールの選定は共通する部分が多いため、社会保険の電子申請対応をきっかけに、労務まわりの業務効率化を一度にまとめて検討すると、準備の重複を減らせます。

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よくある質問

社会保険の電子申請は中小企業も義務ですか?
主要手続きの義務化対象は資本金1億円超の法人のみで、多くの中小企業は対象外です。
電子申請義務化はいつから始まりましたか?
2020年4月に資本金1億円超の法人から始まり、2025年1月に対象手続きが広がりました。
2025年から義務化された手続きは何ですか?
常時50人以上の事業場が対象の、労働者死傷病報告や定期健康診断結果報告などです。
義務化の対象外なら電子申請しなくてよいですか?
対象外でも任意で利用でき、窓口往復の削減など効率化のメリットがあります。
電子申請を始めるには何が必要ですか?
入り口はGビズIDプライムの取得で、オンライン申請なら最短即日で発行されます。
従業員が50人以上に増えたら対象になりますか?
常時50人以上になった時点で、一部の労働安全衛生関係手続きが対象になります。

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SUPERVISED BY|この記事の監修者
原口優
原口 優|セブンセンシズ株式会社 代表取締役
大阪・東成区のデジタルマーケティング&AI導入支援会社の代表。IT導入補助金(現・AI導入補助金)の申請支援50社+・採択通過率90%以上(※当社支援実績)。MEO事業「G-ran」運営。AI導入補助金の申請実務・採択ノウハウを毎日発信しています。