ものづくり補助金は建設業の設備投資にも使え、2026年度からは「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」という名称で、8月31日に第1回公募の申請受付が始まります。総合工事業の重機駆動システム開発や、測量関連業の3Dレーザースキャナー導入など、建設業でも複数の採択事例があります。本記事では、業種別の採択事例3パターン、対象になる経費、3つの申請枠の補助率・上限額を2026年8月時点の情報で整理します。
※ 2026年8月時点の情報です。第1回公募の申請受付は2026年8月31日に開始予定です。
この記事でわかること
- 建設業の採択事例3パターン
- 対象になる経費と対象外になる経費
- 3つの申請枠の補助率・補助上限額
- 第1回公募のスケジュールと申請の流れ
ものづくり補助金は建設業でも使えるのか
ものづくり補助金は、生産性向上につながる機械装置やシステムへの投資を支援する制度で、建設業も対象です。全業種が対象ですが、対象経費の中心が機械装置費であるため、設備投資を行う建設業との相性が良い制度です。
建設業以外では、ものづくり補助金の農業分野における採択事例でも、専用設備への投資という同じ評価軸が使われています。
対象になる範囲を先に押さえるなら、ものづくり補助金は美容室で使える?対象機器と上限750万円の目安が参考になります。
私たちセブンセンシズ株式会社(大阪市東成区・2020年3月創業)は、登録支援事業者として補助金の相談を受けています。「ものづくり補助金は製造業向けだと思っていた」という声を建設業の経営者からもよく聞きます。
実際には、i-Construction関連のICT機器導入や測量機器の高度化でも採択実績があります。中小企業者の判定基準はものづくり補助金は資本金オーバーでも対象?中小企業者7区分で解説しているので、あわせて確認してください。
建設業の採択事例3パターン
建設業の採択事例は、総合工事業・鉄骨工事業・測量関連の技術サービス業の3パターンに整理できます。同じ機械装置費でも、業種によって投資の狙いが異なります。

補助金の採択事例をまとめた解説記事によると、総合工事業では低コスト・高効率な重機駆動システムの開発やi-Construction導入による施工管理効率化が採択されています。鉄骨工事業では、平板自動開先加工機の導入で納期を短縮し、受注増加につなげた事例が紹介されています。
測量関連の技術サービス業では、UAV-LiDARシステムや3Dレーザースキャナーの導入事例が目立ちます。3Dレーザースキャナーの活用事例を紹介する記事によると、首都高速道路の出来形管理で3次元点群データを活用した結果、従来の測量に比べて費用と時間が73%削減された事例が報告されています。
土木現場の測量は、地形確認から土量算出まで手間のかかる工程です。3Dレーザースキャナーを導入すれば、現地で取得したデータをそのままシミュレーションに使え、算出作業の時間を大きく圧縮できます。
総合工事業では、方向制御ノズルを用いて地中に埋設された配管の閉塞をピンポイントで解消するシステムの開発も採択されています。掘削せずに管内の閉塞箇所を特定できれば、復旧工事の日数と費用を同時に抑えられます。
同記事では、鉄骨工事業がH鋼加工を機械化して切削誤差の問題を解決し、受注増加につなげた事例も紹介されています。加工精度が上がると、手戻りによる材料ロスも減らせます。採択事例に共通するのは、人手や勘に頼っていた工程を機械・データで置き換えている点です。
建設業で対象になる経費・対象外の経費
対象になるのは事業計画に紐づく専用の機械装置費で、他の現場でも使える汎用的な重機・パソコンは対象外です。この線引きを誤ると、申請段階で経費を削られる原因になります。

| 区分 | 対象になる例 | 対象外になる例 |
|---|---|---|
| 機械装置 | 3Dレーザースキャナー・UAV-LiDAR等 | 他の現場でも使う汎用的な重機・車両 |
| システム | 施工管理・積算システムの構築費 | 日常業務で使う汎用パソコン単体 |
| 発注時期 | 交付決定後に発注した経費 | 交付決定前に発注した経費 |
対象外設備を解説した記事によると、革新的な取り組みであっても、補助事業以外の従来業務で汎用的に使える設備は対象外とされています。建設業では、事業計画で説明する用途に特化した機器かどうかが審査の分かれ目になります。
採択されただけではまだ発注できません。交付決定の通知を受け取ってから契約・発注しないと、補助対象から外れてしまいます。
3つの申請枠と補助率・上限額の違い
申請枠は革新的新製品・サービス枠、新事業進出枠、グローバル枠の3つで、上限額は2,500万円から最大9,000万円まで幅があります。自社の投資規模と目的に合う枠を選ぶ必要があります。
3つの申請枠を整理した解説記事では、それぞれの補助率・上限額・実施期間が次のようにまとめられています。
| 申請枠 | 補助率 | 補助上限額 | 実施期間 |
|---|---|---|---|
| 革新的新製品・サービス枠 | 1/2(特例2/3) | 2,500万円(特例3,500万円) | 交付決定から10か月 |
| 新事業進出枠 | 1/2(特例2/3) | 7,000万円(特例9,000万円) | 交付決定から14か月 |
| グローバル枠 | 2/3 | 7,000万円(特例9,000万円) | 交付決定から14か月 |
建設業で老朽化した測量機器を高度化する程度なら革新的新製品・サービス枠が候補です。新工法への本格参入や新拠点整備を伴う投資なら、新事業進出枠のほうが上限額に余裕があります。
例えば、鉄骨工事業が加工機を含む生産ラインを1,800万円で刷新する場合、補助率1/2なら900万円、特例の2/3が適用されれば1,200万円が補助される計算です。海外向けの輸出体制強化を伴う投資であれば、補助率2/3のグローバル枠のほうが自己負担を抑えやすくなります。
建設業が満たすべき中小企業者・対象外の条件
建設業の中小企業者は資本金3億円以下または従業員300人以下で判定され、従業員0名の事業者は全枠で対象外です。一人親方が単独で申請できない点は見落とされがちです。
対象企業の要件を整理した記事によると、日本国内に本社と実施場所を持つ中小企業者等が対象で、新事業進出枠は創業1年未満の事業者も対象外とされています。過去3年で同種補助金の交付決定を2回以上受けた事業者も除外されます。
一人親方や従業員を雇わない個人事業主は、この従業員0名要件に該当し申請できません。従業員を雇用してから改めて検討する必要があります。中小企業者の詳しい判定基準はものづくり補助金は資本金オーバーでも対象?中小企業者7区分を参考にしてください。
建設業の中小企業者は、中小企業基本法の区分では資本金3億円以下または常時雇用する従業員300人以下で判定されます。下請け中心の工務店でも、この基準を満たしていれば申請できます。元請けからの受注が中心で自己資本が薄い会社ほど、補助率の高い枠を選べるかどうかが資金計画に直結します。
第1回公募のスケジュールと申請までの流れ
第1回公募の申請受付は2026年8月31日に始まり、締切は2026年9月30日18時です。採択はゴールではなく、実績報告を終えて初めて交付額が確定します。

中小企業庁が公開した第1回公募要領では、事業計画書の作成に電子申請システム(jGrants)のGビズIDプライムが必須と案内されています。取得には郵送で2〜3週間、オンラインなら最短即日〜1週間かかります。
何から着手すればよいか迷う場合は、まずGビズIDプライムの取得から始めてください。事業計画書の作り込みには一定の時間がかかるため、繁忙期を避けて早めに準備を進めるのが安全です。
申請でよくある失敗と注意点
建設業でよくある失敗は、汎用設備を対象経費に含めること、従業員0名で申請してしまうこと、交付決定前に発注することの3つです。いずれも準備段階で防げるミスです。
私も相談の現場で、重機の更新費用をそのまま計上しようとして、汎用性を理由に対象外と指摘された事業者を見てきました。事業計画で説明する用途に機器を絞り込むことが重要です。
元請・下請が混在する現場では、契約や実績報告の名義をどちらの会社にするか事前に整理しておく必要があります。名義の混乱は交付決定後のトラブルにつながりやすいため、早めの整理をおすすめします。申請全体でよくある失敗パターンはAI導入補助金の申請に失敗する5つの原因と対策でも整理しているので、あわせて確認してください。
IT導入補助金・AI導入補助金との使い分け
機械設備への投資が中心ならものづくり系、施工管理アプリなどITツール導入が中心ならAI導入補助金が向いています。対象経費の性質が異なるため、投資内容によって選ぶ制度が変わります。
建設業がAI導入補助金を使う場合は、施工管理アプリや積算ソフトなど、ソフトウェア中心の投資が対象になります。対象ツールやハードウェアの扱いは建設業の2024年問題をAI導入補助金でどう埋めるかで詳しく解説しています。
測量機器そのものを刷新したいのか、既存機器を活かしてソフトウェアで効率化したいのかを最初に整理すると、どちらの制度が向いているか判断しやすくなります。両制度を同一経費で重複申請することはできません。
自己資金だけで両方の投資を同時に進めるのは負担が大きいはずです。測量機器の刷新をものづくり系、施工管理アプリの導入をAI導入補助金に振り分ければ、年度をまたいで段階的に投資を進められます。どちらも交付決定前の発注は対象外になるため、契約時期だけは必ず先に確認してください。
まとめ: 汎用設備を外し、専用機器に絞った計画を
ものづくり補助金は、2026年度から新事業進出・ものづくり商業サービス補助金として、建設業の設備投資にも使える制度です。総合工事業・鉄骨工事業・測量関連の技術サービス業で採択事例があり、事業計画に紐づく専用の機械装置が対象になります。
第1回公募の申請受付は2026年8月31日に始まり、締切は9月30日18時です。上限額は申請枠により2,500万円から最大9,000万円まで幅があるため、自社の投資規模に合う枠を早めに見極めてください。
汎用性の高い重機や日常使いのパソコンを対象経費に含めてしまうと、審査で削られる原因になります。自社の設備投資がどの枠に合うか、対象経費の切り分けに迷う場合は、無料相談で状況を伝えてください。私たちは2020年3月の創業以来、大阪市東成区を拠点に登録支援事業者として申請支援に携わってきました。
