ものづくり補助金の中小企業者とは、業種ごとに定められた資本金の額または従業員数のどちらか一方を満たす事業者を指します。製造業・卸売業・サービス業・小売業に加え、ソフトウェア業や旅館業など細かい業種区分でも基準が定められており、資本金だけで対象外と決めつけると誤判定につながります。本記事では、業種別7区分の基準表、小規模事業者との違い、個人事業主の判定方法を2026年8月時点の情報で整理します。
※ 2026年8月時点の情報です。
この記事でわかること
- 業種別7区分の資本金・従業員数の基準
- 小規模事業者との違いと補助率の優遇
- みなし大企業に該当する条件
- 個人事業主の判定方法
ものづくり補助金の「中小企業者」の考え方
ものづくり補助金の中小企業者とは、業種ごとに定められた資本金の額または従業員数のどちらか一方の基準を満たす事業者です。両方を満たす必要はなく、どちらか一方で足ります。
対象になる範囲については、社会保険の電子申請義務化|中小企業が対象になる3つの条件にまとめています。
対象になる範囲はネイルサロンのものづくり補助金|対象は集塵機とAI機器でも扱っています。
中小企業庁が公開している中小企業・小規模企業者の定義でも、中小企業基本法に基づく業種別の資本金・従業員数の基準が示されており、ものづくり補助金を含む各種支援策の判定に共通して使われる考え方であることが分かります。
私たちは登録支援事業者として補助金の申請支援に携わっていますが、「資本金が基準を超えているから対象外だと思っていた」という相談を受けることがあります。資本金だけで判断せず、従業員数の基準も確認すると、対象になるケースは少なくありません。
ものづくり補助金の対象者は、応募申請時に常時使用する従業員が1人以上いる事業者に限られます。従業員がゼロの個人事業主は、この時点で対象外になる点に注意してください。まずは自社の業種がどの区分に当てはまるかを確認するところから始めましょう。
資本金オーバーでも従業員数で対象になる7つの業種区分
中小企業者の基準は、製造業等・卸売業・サービス業・小売業に加え、ゴム製品製造業やソフトウェア業など7区分に細かく分かれています。資本金の額と従業員数のどちらか一方が基準以下であれば該当します。

| 業種区分 | 資本金の額 | 従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
| ゴム製品製造業(一部除く) | 3億円以下 | 900人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| ソフトウェア業・情報処理サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 旅館業 | 5,000万円以下 | 200人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
中小企業経営支援事務所が整理した2026年4月時点の対象要件では、IT導入補助金と共通する4区分に加え、ゴム製品製造業・ソフトウェア業・旅館業という3つの細かい区分が追加で定められています。IT関連事業者は「サービス業」ではなく「ソフトウェア業・情報処理サービス業」の基準が適用される場合があるため、業種コードを確認しておくと判定を誤りにくくなります。
自社がどの業種に当てはまるかは、主たる事業内容(売上構成の中心)で判断します。複数業種を営んでいる場合は、最も売上比率の高い事業で判定するのが基本的な考え方です。判断の軸は、あくまで売上構成という一点。詳しい業種区分の全体像はIT導入補助金の中小企業とは?業種別4区分の資本金・従業員数でも整理しています。
中小企業基盤整備機構が中小企業庁担当者に取材した解説記事でも、ものづくり補助金は生産性向上に資する設備投資・システム構築を支援する制度として位置づけられており、中小企業者の定義そのものは中小企業等経営強化法に基づく共通の考え方が使われていると説明されています。制度の目的を理解しておくと、審査で重視される「生産性向上の根拠」もイメージしやすくなります。
小規模事業者に該当すると補助率が2/3に上がる
小規模事業者は中小企業者よりさらに厳しい従業員数基準で区分され、賃上げ特例の一部要件では補助率が2/3に優遇されます。製造業その他は20人以下、商業・サービス業は5人以下が目安です。
| 業種区分 | 小規模事業者の従業員数 |
|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業その他 | 20人以下 |
| 商業(卸売業・小売業)・サービス業 | 5人以下 |
2026年度の第23次公募では、最低賃金+50円以内で雇用する従業員が全体の30%以上いる事業者は、補助率が1/2から2/3に引き上げられます。ただし小規模事業者・小規模企業・再生事業者・大幅賃上げ特例の申請事業者には、この優遇は適用されません。
大幅賃上げ特例では、給与支給総額を年率平均6.0%以上増加させる計画が条件です。基本要件の3.5%に、追加で2.5%を上乗せする水準で、従業員数規模に応じた補助上限額の引き上げが受けられます。自社が小規模事業者に該当するかどうかで、使える特例の組み合わせが変わるため、規模の判定は早めに済ませておくとよいでしょう。
私たちが相談を受ける中でも、小規模事業者に該当するのに中小企業者の基準だけで判定し、優遇される補助率に気づいていなかったというケースが目立ちます。事実として、中小企業者の基準と小規模事業者の基準は別の物差しです。従業員数が少ない事業者ほど、両方の基準を確認する価値があります。
基準表は「中小企業者かどうか」で終わらせず、「その中でも小規模事業者か」まで確認する二段構えで見るのがポイント。賃上げ特例は毎回の公募で細かい条件が変わります。申請の直前ではなく検討を始めた段階で、最新の公募要領を確認しておくと計画の立て直しに慌てずに済みます。
大企業の子会社は「みなし大企業」で対象外になる
大企業が株式の過半数を保有しているなど実質的に支配されている子会社は、基準を満たしていても「みなし大企業」として対象外になります。資本構成まで確認しておく必要があります。

みなし大企業の判定では、株式保有比率だけでなく役員構成や実質的な経営への関与も確認対象になります。大企業の資本が一部入っているだけで即座に対象外になるわけではありませんが、過半数を大企業が保有している場合は注意が必要です。
私も申請の相談で、グループ会社の一員であることに気づかずに申請を進めかけていた事業者を見たことがあります。持株会社化やM&Aを検討している場合は、資本構成が変わるタイミングで中小企業者の判定結果も変わりうる点を、事前に把握しておくと安心です。
資本金・従業員数の基準を満たしていても、大企業に実質支配されている場合は対象外になります。株主名簿と役員構成を、申請の前段階で必ず確認してください。
個人事業主は常時雇用1人以上が前提条件
個人事業主には資本金という概念がないため、業種ごとの従業員数の基準だけで中小企業者かどうかを判定します。ただし常時使用する従業員が1人以上いることが前提で、この点はIT導入補助金にはない条件です。
家族従業員のみで運営している個人事業主の場合、従業員数のカウント方法を事務局に確認しておくと手戻りを防げます。個人事業主が使える補助金全体の選択肢は、個人事業主の給付金・補助金|申請方法と使える4つの制度にまとめています。
決算書の提出書類も法人とは異なり、確定申告書の控えが基準になります。直近の確定申告書で売上・利益の状況を確認できる状態にしておくと、申請書類の準備がスムーズに進みます。
対象かどうかを見極める4つの確認ポイント
自社が対象になるかは、業種の確認・基準表との照合・小規模事業者の該当確認・みなし大企業の確認という4つのポイントで判断できます。順番に確認すれば、判断に迷う場面は減ります。

- 主たる業種を確認する: 7区分のどれに当てはまるかを、売上構成の中心となる事業内容で判断します。
- 資本金・従業員数を基準表と照合する: どちらか一方を満たしているかを確認します。
- 小規模事業者に該当するか確認する: 該当すれば、賃上げ特例の適用条件が変わります。
- みなし大企業でないか確認する: 資本構成・役員構成に大企業の支配がないかを確認します。
具体的な例で考えてみます。資本金1,000万円・従業員80名のソフトウェア業を想定します。基準は資本金3億円以下または従業員300人以下です。この場合はどちらの基準も満たすため、中小企業者に該当します。
別の例も見てみましょう。資本金6,000万円・従業員40名の小売業を考えます。資本金は小売業の基準(5,000万円以下)を超えています。しかし従業員数は基準(50人以下)を満たすため、これも中小企業者に該当します。資本金と従業員数のどちらか一方さえクリアしていればよいという点を忘れると、実際には対象なのに申請をあきらめてしまうことがあります。
資本金だけで判断すると起きる誤解
資本金だけで判断してしまう点と、業種区分を「サービス業」に丸めてしまう点が、誤解の起きやすい2つのポイントです。基準はどちらか一方を満たせばよく、業種区分も7つに分かれています。
資本金の基準だけを見て申請をあきらめかけていた事業者が、従業員数の基準では対象内だったケースは珍しくありません。「資本金オーバーだから対象外」と決めつける前に、従業員数の基準も必ず確認してください。
もう一つ多いのが、IT関連の事業を営んでいるのに「サービス業」の基準で判定してしまう例です。ソフトウェア業・情報処理サービス業には独自の基準があり、サービス業の基準(従業員100人以下)とは従業員数の上限が同じでも資本金の基準が異なります。業種コードを確認せずに自己判断すると、本来対象なのに諦めてしまう、あるいは逆に対象外なのに申請してしまうリスクがあります。
自社の業種区分に迷う場合は、日本標準産業分類の業種コードと照らし合わせるか、支援事業者に相談するのが確実。申請全体の流れを先に把握したい場合は、AI導入補助金の申請のやり方|受給までの5ステップを解説も参考にしてください。小規模事業者の採択率については小規模事業者持続化補助金|個人事業主の採択率47.2%と対策で解説しています。
まとめ: 7区分の基準表で自社の該当を確認する
ものづくり補助金の中小企業者は、業種ごとに定められた資本金の額または従業員数のどちらか一方を満たせば該当します。IT導入補助金と共通する4区分に加え、ゴム製品製造業・ソフトウェア業・旅館業の3区分が追加されている点が特徴です。
資本金だけで対象外と判断せず、従業員数の基準も併せて確認してください。小規模事業者に該当するかどうかで、賃上げ特例の使える組み合わせも変わります。みなし大企業に該当しないかも、資本構成が複雑な場合は早めに確認しておきましょう。
自社の業種や資本構成で判断に迷う場合は、無料相談で状況を伝えていただければ、対象になるかどうかを一緒に確認できます。私たちは2020年3月の創業以来、大阪市東成区を拠点に登録支援事業者として申請支援に携わってきました。その知見を、ぜひ活用してください。
