飲食店がAI導入補助金の対象要件を満たすかどうかは、資本金5,000万円以下か従業員100人以下という「中小企業者」の基準を、どちらか一方でも満たしているかで決まります。個人経営の小規模店舗でも、要件の判定さえ間違えなければ問題なく申請できます。この記事では、資本金・従業員数の基準から対象外になる落とし穴まで、2026年9月時点の情報で整理します。
※ 2026年9月時点の情報です。
この記事でわかること
- 資本金・従業員数の2つの判定基準
- 個人経営・小規模店舗の扱い
- 対象要件を満たしても落ちる3つのケース
- 要件確認から申請までの流れ
飲食店はAI導入補助金の対象要件を満たすのか
飲食店は中小企業基本法上「サービス業」に区分され、資本金5,000万円以下か従業員100人以下のどちらかを満たせば対象要件をクリアします。業種名に「飲食店」という専用の枠が用意されているわけではなく、他の業種と同じ判定基準に当てはめて考えます。
対象になる範囲については、動物病院はAI導入補助金の対象になるかにまとめています。
実際の進め方は飲食店のAI導入補助金で整理しています。
対象要件を満たしていても、飲食店 AI導入補助金で落ちる理由は別にあるため、申請前に確認しておくと安心です。
飲食店の経営形態は株式会社・合同会社・個人事業主とさまざまですが、対象要件の判定に法人形態そのものは関係ありません。株式会社でも個人事業主でも、資本金と従業員数の基準に照らして同じように判定します。居酒屋・カフェ・レストラン・持ち帰り専門店といった業態の違いも、対象要件には影響しません。
私たちは登録支援事業者として、飲食店からの相談を受ける際にまず資本金と従業員数を確認します。「規模が大きいから対象外だろう」と自己判断して相談を見送る経営者が一定数いますが、実際には多くの店舗が要件を満たしています。判定基準を知らないまま諦めるのは、単純にもったいないことです。
対象になるかどうかを自分で確かめたい場合は、3分の適性診断(無料・8問)でも確認できます。登録不要でその場で結果が出ます。
対象要件の判定基準|資本金と従業員数のどちらか一方
対象要件の判定基準は、資本金と従業員数のどちらか一方が基準以下であれば満たすという考え方です。両方を満たす必要はなく、片方で十分です。
業種区分ごとの基準を表に整理しました。飲食店は多くの場合「サービス業」に該当します。
| 業種区分 | 資本金の基準 | 従業員数の基準 |
|---|---|---|
| 製造業その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
多くの個人経営・中小規模の飲食店は、この基準を余裕をもって満たします。資本金5,000万円を超える飲食店自体が少数派のため、実務上は従業員数よりも資本金基準で判定できるケースが目立ちます。
迷いやすいのは、喫茶店やカフェのように「小売業」に近い印象を持つ業態です。日本標準産業分類上の飲食店は「宿泊業,飲食サービス業」に分類されますが、中小企業基本法の適用では基本的にサービス業の基準で判定します。業態の名称にとらわれず、サービス業の基準を軸に確認してください。
判定に迷う場合は、決算書の資本金額と、直近の従業員名簿を手元に用意した上で、契約予定の支援事業者に確認するとスムーズです。詳しい申請の全体像はAI導入補助金の申請のやり方|受給までの5ステップを解説で解説しています。
個人経営・小規模店舗は「小規模事業者」の基準で申請できるか
飲食店を含む商業・サービス業は、常時使用する従業員が5人以下であれば「小規模事業者」の基準で申請できます。個人事業主として営む飲食店の多くが、この区分に当てはまります。
小規模事業者に区分されると、通常枠の補助率が優遇される仕組みがあります。賃上げなど一定の要件を満たすことで、補助率が最大4/5まで引き上がるケースがあります。この優遇を受けられるかどうかは、対象要件とは別に賃上げ計画の内容で判定されます。
従業員数を数える際に迷いやすいのが、パート・アルバイトの扱いです。中小企業基本法上の従業員数には常時雇用する従業員を含める一方、繁忙期だけの短期アルバイトは含めません。シフト制で人数が変動する飲食店ほど、この線引きを事前に確認しておくと安心です。
家族経営や少人数のスタッフで営業する飲食店ほど、この区分の恩恵を受けやすいといえます。個人事業主であること自体は対象要件の障害にならず、法人化していない店舗も同じ土俵で申請できます。
対象要件を満たしていても対象外になる3つのケース
資本金・従業員数の基準を満たしていても、みなし大企業・税金滞納・重複申請のいずれかに該当すると対象外になります。要件を満たすことと、実際に審査を通過することは別の話です。

資本金・従業員数の基準を満たしていても、大企業が実質的に株式の過半数を保有しているなど「みなし大企業」に該当する場合は対象外です。フランチャイズ本部が大企業の場合は、契約形態を確認してください。
税金の滞納がある場合も、対象要件を満たしていて対象外になる代表的なケースです。分割納付中であっても、原則として滞納として扱われる点に注意してください。国税・地方税いずれかを滞納していると、原則として交付決定を受けられません。申請前に納税証明書を取得し、滞納がないことを確認しておくと安心です。
同一の経費区分で、過去の補助金と重複した内容を申請する場合も減点対象になります。実際にあった不採択の詳しい傾向はAI導入補助金の不採択理由|審査で落ちる6つのパターンで解説しています。
IT導入支援事業者との契約が対象要件に含まれる理由
AI導入補助金は事業者単独では申請できず、事務局に登録された支援事業者との契約が前提条件になっています。複数者連携枠を除き、この関係を欠くと申請自体が成立しません。
支援事業者は、単なる代理申請の窓口ではありません。事業計画書の作成支援から、交付決定後の実績報告まで一貫して伴走する役割を担います。契約する支援事業者が登録済みかどうかは、事前に必ず確認してください。
事務局のITツール検索では、業種・目的から登録済みの支援事業者を絞り込めます。未登録の事業者と契約を進めてしまうと、後から申請できないと分かる事態になりかねません。登録状況の確認方法はベンダー登録とは?IT導入補助金の確認方法と2つのリスクで詳しく整理しています。
対象要件を満たすAIツールの見分け方
ツール側の対象要件は、事務局の「ITツール検索」に登録されているかどうかという1点でほぼ決まります。飲食店特有の機能があるかどうかより、まずこの登録状況が優先されます。
具体的には、AIが売上データから発注量を予測する需要予測ツール、電話予約をAIが自動で受け付けるツール、セルフオーダー端末と連動した会計・在庫管理ツールなどが飲食店で選ばれやすい分野です。いずれも共通するのは、事務局のITツール検索に登録済みという条件を満たしていることです。「AIを搭載しているから対象になる」という判断は誤りで、登録の有無を必ず確認してください。
飲食店であれば、AI需要予測、注文・予約管理、チャットボットによる顧客対応などが優先度の高い分野です。対象になるツールの分野と見分け方は、業種を問わず共通の考え方があります。詳しくはAI導入補助金の対象ツール6分野|対象外との見分け方で解説していますので、あわせて確認してください。
複数店舗を経営する飲食店は対象要件がどう変わるか
複数店舗を経営していても、対象要件は店舗数ではなく法人(または個人事業主)単位で判定されるため、店舗数自体は要件に影響しません。1店舗でも10店舗でも、資本金・従業員数の合計で判定する点は変わりません。
ただし従業員数は、全店舗の合計人数で見る必要があります。店舗ごとに見れば少人数でも、合算すると基準を超えてしまう多店舗展開の飲食店には注意が必要です。この点を見落として小規模事業者の枠で申請し、後から訂正を求められる例も見てきました。
同じ経営者が複数の屋号で店舗を展開している場合も、資本関係でつながっていれば合算して判定される点に注意してください。別会社として登記していても、実質的に同一グループとみなされれば、従業員数を合算して判定されることがあります。この判断は個別の資本構成によって変わるため、支援事業者に実態を正確に伝えることが欠かせません。
フランチャイズ形式で複数店舗を運営する場合の考え方は、前章のみなし大企業の判定とあわせて確認してください。実際の飲食店の採択事例は小規模事業者持続化補助金|飲食店の採択事例でも紹介しています。
対象要件を確認してから申請するまでの3ステップ
対象要件の確認は、要件を確認する、支援事業者を選ぶ、GビズIDを取得するという3つのステップで進めます。この順番を守ると、契約後に要件を満たしていないと分かる手戻りを避けられます。

最初のステップでは、決算書と従業員名簿をもとに、前章までの基準に照らして自店が対象要件を満たすかを確認します。次に、登録済みの支援事業者を2〜3社ほど比較しながら選定します。最後に、電子申請に必要なGビズIDプライムアカウントを取得します。
GビズIDの取得には数日かかることがあるため、早めの準備をおすすめします。取得手順はAI導入補助金のGビズID取得方法|プライム申請の流れにまとめています。

中小企業庁が公開している公募要領には、業種区分ごとの詳細な基準や、みなし大企業の定義が記載されています。判定に迷う項目があれば、この一次資料と支援事業者への確認をあわせて行ってください。
まとめ: 対象要件は資本金・従業員数の「どちらか一方」で判定する
飲食店がAI導入補助金の対象要件を満たすかどうかは、資本金5,000万円以下か従業員100人以下のどちらか一方で判定します。個人経営の小規模店舗も、多くの場合は問題なく対象に含まれます。
要件を満たしていても、みなし大企業・税金滞納・重複申請に該当すると対象外になる点だけは見落とさないでください。この3つを確認したうえで、登録済みの支援事業者を選び、GビズIDの取得を進めれば、申請までの準備は整います。
業種名だけを見て「飲食店だから対象外」と早合点せず、資本金・従業員数という2つの数字を実際に確認することが最初の一歩です。判定に自信が持てない場合も、決算書と従業員名簿さえ手元にあれば、支援事業者への相談はその場で始められます。
私たちは登録支援事業者として、対象要件の判定から申請書類の作成、採択後の実績報告まで一貫して支援しています。自店の要件確認から相談したい場合は、無料相談をご利用ください。
