個人事業主も、会計ソフトをIT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金2026)の対象として、通常枠・インボイス対応類型のいずれかで申請できます。開業から1年以上が経ち必要書類が揃っていれば、法人と同じ条件で単体でも申請可能です。本記事では、対象になる2つの枠、機能要件、補助率・補助額、クラウド利用料の補助期間を2026年8月時点の情報で整理します。
※ 2026年9月時点の情報です。
この記事でわかること
- 個人事業主が会計ソフトで使える2つの枠
- 白色申告・青色申告・インボイス対応の機能要件
- 枠ごとの補助率・補助額の目安
- クラウド利用料が補助される期間
IT導入補助金の会計ソフトとは?個人事業主も対象か
個人事業主も、会計ソフトをIT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金2026)の対象として申請できます。法人か個人事業主かで、扱いが変わることはありません。
対象になる範囲はIT導入補助金のパソコン購入で整理しています。
私たちはAI導入補助金の登録支援事業者として、対象ツールの選定から申請書類の作成、採択後の実績報告まで一貫して支援しています。「会計ソフトは補助対象になるのか」という相談は、個人事業主から特に多く寄せられます。結論として、それは単独の申請枠ではなく、後述する複数の枠に組み込まれた機能要件の1つという位置づけです。
確定申告に対応したクラウド会計ソフトの多くは、事務局の「ITツール検索」に登録されたITツールです。対象ツール全体の分野はAI導入補助金の対象ツール6分野|対象外との見分け方で解説しているとおり、登録の有無が対象になるかどうかの第一条件になります。
個人事業主向けのクラウド会計ソフトは、月額・年額課金のサブスクリプション型が主流です。買い切り型のパッケージソフトと比べて初期費用を抑えやすく、確定申告の時期だけ機能を使う個人事業主にも選ばれています。
個人事業主が満たすべき開業年数・必要書類などの基本条件は個人事業主のAI導入補助金|開業1年未満は対象外?条件を解説にまとめているので、あわせて確認してください。
個人事業主が会計ソフトを申請できる2つの枠
会計ソフトは、通常枠とインボイス対応類型という2つの枠で申請でき、個人事業主も法人と同じ条件で選べます。枠によって補助率・上限額・機能要件が異なります。

| 枠 | 補助率 | 補助上限額 | 機能要件 |
|---|---|---|---|
| 通常枠 | 1/2以内(賃上げ要件達成で2/3) | 5万円〜450万円 | 1業務プロセス以上(会計を含む) |
| インボイス対応類型 | 50万円以下は3/4〜4/5、超過分は2/3 | 350万円 | 会計・受発注・決済のうち1〜2機能 |
通常枠のページでは、会計を含む業務プロセス全般が対象と案内されています。一方インボイス対応類型のページは、「会計」「受発注」「決済」のうち機能要件を満たすソフトウェアが対象になると明記しています。単独で導入したい個人事業主の多くは、この2つの枠のどちらかを比較検討することになります。
会計ソフトの機能要件は?白色申告・青色申告・インボイス対応
機能要件は、補助額50万円以下なら1機能以上、50万円超なら2機能以上を満たすことです。会計・受発注・決済という3つの機能区分のうち、会計単体でも1機能としてカウントされます。
会計機能とは、具体的には仕訳・記帳、決算書類の作成、確定申告書の作成・e-Tax連携などを指します。個人事業主が選ぶ製品は、白色申告・青色申告のどちらにも対応したものが中心です。ただし青色申告特別控除65万円を狙う場合は、e-Tax申告または電子帳簿保存に対応した製品を選ぶ必要があります。
白色申告は収支内訳書、青色申告は青色申告決算書というように、必要な帳票の種類がそもそも異なります。自分がどちらの申告方式かを先に確認しないと、対応帳票が作れないソフトを選んでしまうことがあります。候補ソフトの対応表を見る際は、自分の申告方式の帳票が含まれているかを最初にチェックしてください。
課税事業者として取引先へ適格請求書(インボイス)を発行するなら、白色・青色申告のどちらであっても、インボイス制度に対応したソフトが必要です。免税事業者のままなら必須ではありませんが、今後の課税事業者化も見据えて選ぶ個人事業主が増えています。
私も相談の現場で、「会計ソフトの機能さえあれば何でもよい」と考えて選んだ結果、インボイス対応機能が無く後から乗り換えることになった個人事業主の方を見てきました。候補ソフトが要件を満たすかは、契約前にIT導入支援事業者へ確認してください。
対象になる会計ソフトの見分け方
補助金の対象は「ソフトの名前」ではなく、登録されているかどうかで決まります。
freeeやマネーフォワードといった名前で探しても、対象かどうかは分かりません。同じ会社の製品でも、登録されている型と、されていない型があります。
| 確認すること | どこで見るか |
|---|---|
| そのソフトが登録されているか | 補助金の公式サイトのITツール検索 |
| どの枠で申請できるか | 検索結果に表示される枠の区分 |
| 補助率と上限額 | 枠ごとに異なるため、枠が決まってから確認 |
| 導入支援事業者は誰か | ソフト会社ではなく、登録された販売事業者 |
申請はソフト会社ではなく、登録された事業者と一緒に行います。 ここを知らずにソフト会社へ直接問い合わせて、話が進まないという相談をよく受けます。
「補助金対象」と広告に書いてあっても、そのまま信じないでください。過去に対象だった製品が、年度が変わって外れていることがあります。必ず公式サイトの検索で、その年度の登録を確認します。
私たちが申請を支援する中で一番多いつまずきは、ソフトを決めてから対象外だと分かる流れです。順番を逆にして、対象の中から選べば手戻りがありません。
個人事業主が受け取れる金額はどう変わるか
インボイス対応類型は、補助額50万円以下の部分で中小企業3/4以内・小規模事業者4/5以内が適用されます。50万円を超える部分は2/3以内に下がります。
| 補助額の区分 | 中小企業 | 小規模事業者 |
|---|---|---|
| 50万円以下の部分 | 3/4以内 | 4/5以内 |
| 50万円超〜350万円以下の部分 | 2/3以内 | 2/3以内 |
事務局のインボイス対応類型ページが示すこの補助率は、他の枠と比べても高水準です。商業・サービス業で常時使用する従業員数5人以下の個人事業主は小規模事業者に該当するケースが多く、最も有利な4/5の補助率を使いやすい立場にあります。
具体的な金額でイメージすると分かりやすくなります。個人事業主が同ソフトを年間8万円で契約した場合、この枠の補助率は中小企業3/4・小規模事業者4/5です。補助額は中小企業で6万円、小規模事業者で6.4万円になり、自己負担は1.6万円〜2万円程度まで下がります。
会計ソフトに加えて周辺システムをまとめて導入し、契約額が50万円を超えるケースもあります。その場合、50万円以下の部分は3/4〜4/5、超過分は2/3の補助率が別々に適用されます。
たとえば契約額が80万円なら、最初の50万円分と残り30万円分を分けて計算します。単純に「80万円×一律の補助率」にはならない点に注意してください。
個人事業主の場合、同ソフト単体の契約額が80万円を超えるケースは多くありませんが、複数のツールをまとめて導入する際は区分の考え方を押さえておくと見積もり比較がしやすくなります。
枠ごとの試算をさらに詳しく知りたい場合は、AI導入補助金はいくらもらえる?3つの枠の上限額と計算例も参考にしてください。
クラウド型会計ソフトの利用料はどこまで補助されるか
通常枠では、クラウド利用料が最大2年分まで補助対象になります。買い切り型のソフトウェア購入費だけでなく、月額課金のクラウド型サービスも対象に含まれます。
通常枠のページには、対象経費として「ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)」と明記されています。個人事業主が使う対象ソフトの多くは月額・年額課金のクラウド型であるため、この上限を把握しておくと申請額の見込みが立てやすくなります。
一方、インボイス対応類型のページでは、クラウド利用料の補助対象期間について通常枠ほど明確な年数の記載が見当たりません。枠によって記載の粒度が異なるため、契約年数を決める前にIT導入支援事業者へ直接確認することをおすすめします。思い込みで複数年契約を結ぶと、補助対象外の期間分を自己負担することになりかねません。
対象ソフトは一度契約すると数年単位で使い続けるケースが多いツールです。契約前に「何年分が補助対象になるか」を書面で確認しておくと、更新時期に想定外の請求が来る事態を避けられます。
経理担当者を別に置かず、自分で確定申告まで完結させる個人事業主は少なくありません。契約条件のチェックを後回しにしがちな立場だからこそ、申込み前の確認を意識してください。わからない点は自己判断せず、支援事業者に質問する形で進めると見落としを防げます。
会計ソフト選びでやりがちな失敗パターン
会計ソフト選びの失敗は、申告方式の未確認、インボイス未対応、交付決定前の契約という3パターンに集中しています。制度の複雑さより、確認の順番のミス。これが失敗の共通点です。

1つ目は、自分が白色申告か青色申告かを確認せず、対応していないソフトを選んでしまうケースです。2つ目は、インボイス対応の有無を確認せず契約し、後から適格請求書を発行できないと気づくケースです。3つ目は、交付決定の通知が届く前に契約・支払いを済ませてしまい、補助対象から外れるケースです。この順番のルールは、すべての対象ツールに共通します。
契約を急ぐあまり交付決定を待たずに発注してしまう相談は、対象ツール全般で後を絶ちません。ツールが決まっても、必ず交付決定の通知を確認してから契約に進んでください。
申請全体のつまずきやすいポイントはAI導入補助金の申請に失敗する5つの原因と対策でも整理しています。
候補ソフトが対象ツールとして登録されているかは、事務局のITツール検索で「会計」カテゴリから絞り込んで確認できます。契約書にサインする前に、検索結果に自分が使いたいソフト名が出てくるかを必ず確認してください。
自社が補助金の対象になるかどうかは、3分の適性診断(無料・8問)で確かめられます。登録は不要で、その場で点数が出ます。
会計ソフトを使い始めるまでの手続きとスケジュール
会計ソフトの導入は、GビズID取得から実績報告まで4つの段階で進みます。枠を決めた後の全体像を把握しておくと、途中でつまずきにくくなります。

最初のGビズIDプライムは発行までに約2〜3週間かかるため、早めの取得が全体スケジュールを左右します。取得後にIT導入支援事業者と契約し、交付申請を行う流れはAI導入補助金の申請のやり方|受給までの5ステップを解説で解説しています。
交付決定後にソフトを導入・支払いし、利用実績を報告する段階になったら、AI導入補助金の実績報告の書き方|必要書類と提出の4ステップを確認してください。
会計ソフトと同時にPCやタブレットの導入も検討している場合は、AI導入補助金の受発注ソフトとは?対象3枠と補助額を解説で紹介しているハードウェアの扱いも参考になります。
まとめ: 会計ソフト選びは申告方式が最初の分かれ道
個人事業主が会計ソフトをIT導入補助金で導入する場合、通常枠とインボイス対応類型のどちらかを選ぶことになります。補助額が50万円以下に収まりそうならインボイス対応類型の高い補助率が有利になり、複数の業務プロセスをまとめて効率化したいなら通常枠が選びやすくなります。
会計ソフトを選ぶ際に先に整理すべきは、自分が白色申告か青色申告か、そしてインボイス対応の要否。この2点さえ押さえておけば、対象ツールの中から候補を絞り込む作業がスムーズに進みます。
契約前には交付決定の通知を必ず確認し、クラウド型なら利用料の補助対象期間もあわせて支援事業者に確認しておくと、想定外の自己負担を防げます。まずは自分の申告方式とインボイス対応の要否を整理するところから始めてみてください。
