AI導入補助金でいくらもらえるかは申請枠によって異なり、通常枠は上限5万円〜450万円、インボイス対応類型・電子取引類型は上限350万円まで補助されます。補助率も枠と契約金額によって1/2〜4/5の幅があり、同じ契約額でも選ぶ枠で補助額が大きく変わります。本記事では3つの枠ごとの補助率・上限額を整理し、契約金額から自社の補助額を試算する方法を2026年8月時点の情報で解説します。
※ 2026年8月時点の情報です。
この記事でわかること
- 3つの申請枠ごとの補助率・上限額
- 50万円を境に補助率が変わる仕組み
- 契約金額から自社の補助額を試算する方法
- パソコンやレジなどハードウェアの扱い
AI導入補助金でいくらもらえるのか
AI導入補助金は、通常枠なら上限5万円〜450万円、インボイス対応類型・電子取引類型なら上限350万円まで補助されます。補助率は枠ごとに1/2〜4/5の幅があり、契約金額と選ぶ枠の組み合わせで最終的な補助額が決まります。
エステサロンの場合は、エステサロン AI導入補助金の補助額の目安を1人サロン・5名前後・複数店舗の3パターンで試算しています。
対象になる範囲は飲食店のAI導入補助金 対象要件で整理しています。
選ぶときの基準はAI開発補助金とは?導入型との違いと使える3つの制度で整理しています。

まず全体像を一覧で押さえてください。枠ごとの違いを知らずにツールを選ぶと、本来もっと有利な枠を使えたのに気づかないまま契約してしまうことがあります。
| 申請枠 | 補助率 | 補助上限額 |
|---|---|---|
| 通常枠 | 1/2以内(賃上げ要件達成で2/3以内) | 5万円〜450万円(業務プロセス数による) |
| インボイス対応類型 | 50万円以下は中小3/4・小規模4/5、超過分は2/3 | 350万円以下 |
| 電子取引類型 | 中小・小規模2/3以内、その他1/2以内 | 350万円以下 |
私たちは2020年3月の創業以来、大阪市東成区を拠点にMEO運用サービス「G-ran」で通算3,200店舗以上を運用してきました。この実績をもとに、登録支援事業者としてAI導入補助金の申請支援にも携わっています。相談の現場でよく聞くのが「結局いくら戻るのか分からない」という声です。枠の違いを理解するだけで、同じ契約額でも自己負担を数万円〜数十万円単位で減らせることがあります。
補助率と上限額の仕組みは複雑に見えますが、実際は「契約額」と「選ぶ枠」の2つが分かれば計算できます。次の章から、枠ごとの違いを1つずつ整理します。
通常枠の補助額は業務プロセス数で決まる
通常枠の補助率は1/2以内で、導入するツールが対象とする業務プロセスの数に応じて上限額が5万円〜450万円まで段階的に上がります。プロセス数が多いツールほど、上限も大きくなる仕組みです。
事務局の通常枠ページによると、上限額は1プロセス以上で5万円〜150万円未満、4プロセス以上で150万円〜450万円以下と定められています。賃上げ要件(令和6年10月〜令和7年9月の間で3か月以上、地域別最低賃金未満の従業員が全体の30%以上いない状態)を満たすと、補助率は2/3以内に引き上がります。
| 業務プロセス数 | 補助上限額 |
|---|---|
| 1プロセス以上 | 5万円〜150万円未満 |
| 4プロセス以上 | 150万円〜450万円以下 |
対象になるツールの具体例や6分野の区分は、AI導入補助金の対象ツール6分野|対象外との見分け方で詳しく解説しています。導入したいツールがどのプロセス数に当てはまるかは、支援事業者に確認すると正確です。
インボイス対応類型は50万円を境に補助率が変わる
インボイス対応類型は、契約額50万円以下の部分は中小企業3/4・小規模事業者4/5、50万円を超える部分は2/3という2段階の補助率になります。上限額は350万円以下です。
事務局のインボイス対応類型ページでは、会計・受発注・決済のいずれか1機能以上を持つソフトウェアが対象と示されています。50万円という境目を知らずに契約額を決めると、補助率の高い部分を使い切れないまま申請してしまうケースがあります。
具体的な金額でイメージすると分かりやすくなります。契約額が100万円の場合、50万円以下の部分は中小企業なら3/4で37.5万円です。残り50万円超の部分は2/3で33.3万円になり、合計は約70.8万円が補助される計算です。
受発注ソフトを軸にした枠選びの詳しい比較は、AI導入補助金の受発注ソフトとは?対象3枠と補助額を解説でも紹介しています。
電子取引類型は中小・小規模なら補助率2/3
電子取引類型は、中小企業・小規模事業者の補助率が2/3以内、それ以外の事業者は1/2以内で、上限額は350万円以下です。発注側が受注側に無償でアカウントを発行できるクラウド型ソフトウェアが対象になります。
インボイス対応類型と対象範囲が似ていますが、「取引先にもアカウントを配って一緒に使うかどうか」で選ぶ枠が変わります。自社単独での利用ならインボイス対応類型、取引先を巻き込む受発注の一本化なら電子取引類型が対象として想定されているモデルケースに近くなります。
補助率の段階がインボイス対応類型のような2段階ではなく、契約額にかかわらず一律である点も違いの一つです。契約額が大きくなるほど、この一律の補助率がシンプルに計算しやすいという利点になります。
例えば、発注元と仕入先で共有する受発注ソフトを年間150万円で契約した場合、中小企業なら補助率2/3が一律に適用され、150万円×2/3=100万円が補助されます。インボイス対応類型のように50万円で区切って計算し直す手間がないため、契約額が大きい取引先連携の場面では見積もりの段階で補助額の見通しを立てやすくなります。
パソコンやレジも補助対象になるが上限がある
パソコン・タブレットは上限10万円、レジ・券売機等は上限20万円まで、補助率1/2以内でハードウェアも補助対象になります。ただし単体では申請できません。
事務局のインボイス対応類型ページによると、ハードウェアは対象ソフトウェアの使用に資するものである必要があります。
| ハードウェア区分 | 補助率 | 上限額 |
|---|---|---|
| PC・タブレット等 | 1/2以内 | 10万円以下 |
| レジ・券売機等 | 1/2以内 | 20万円以下 |
「タブレットだけ安く買いたい」という理由での申請はできません。対象ソフトウェアと同時に導入する場合に限り、ハードウェアも補助対象になります。

相談の現場でも、レジと会計ソフトを別々のタイミングで導入しようとして、ハードウェア分だけ対象外になったという事例を見てきました。同時導入かどうかは、見積書の発注日で確認してください。
なお、通常枠ではハードウェアそのものが対象外です。ハードウェアを含めて申請したい場合は、インボイス対応類型を選ぶ必要があります。「通常枠のほうが補助率は同等かそれ以上だから」という理由だけで枠を決めると、ハードウェア分を取りこぼすことになるため注意してください。
契約金額から自社の補助額を試算してみる
自社の補助額は「契約金額を確認する」「申請枠を選ぶ」「補助率を掛けて上限額と照らす」という3ステップで試算できます。電卓があれば、契約額さえ分かればおおよその金額をその場で計算できます。

2つのケースで実際に計算してみます。
ケース1: ネイルサロンが予約管理システムを年間42万円で契約し、インボイス対応類型を使う場合。
50万円以下に収まるため、小規模事業者なら補助率4/5が適用されます。42万円×4/5=約33.6万円が補助され、自己負担は約8.4万円まで下がります。
ケース2: 卸売業の中小企業が基幹システムを年間280万円で契約し、通常枠(4プロセス以上・賃上げ要件達成)を使う場合。
補助率2/3が適用され、280万円×2/3=約186.7万円です。上限450万円の範囲内に収まるため、この金額がそのまま補助されます。自己負担は約93万円です。
同じ「280万円のシステム」でも、賃上げ要件を満たさず補助率1/2のままなら補助額は140万円にとどまります。契約前に賃上げ要件を満たせるかどうかを確認するだけで、補助額に数十万円の差が出る点は見落とされがちです。
ケース3: 士業事務所がインボイス対応の会計ソフトを年間70万円で契約し、インボイス対応類型(中小企業)を使う場合。
50万円以下の部分は補助率3/4で37.5万円、残り20万円の部分は補助率2/3で約13.3万円、合計約50.8万円が補助されます。自己負担は約19.2万円です。契約額が50万円をわずかに超える場合でも、超過分だけ補助率が下がる仕組みのため、極端に不利になるわけではありません。
補助金は先払い。着金までの資金繰りに注意する
AI導入補助金は、ツールを導入・支払いした後に実績報告を提出し、確認が完了してから振り込まれる後払い方式です。契約から着金までは、自己負担分だけでなく補助対象分も含めて一時的に立て替える必要があります。
関連して、AI導入補助金の着金はいつ?実績報告後の日数目安もあわせてご確認ください。
交付決定の通知を受け取る前に発注・契約・支払いをすると、その分は補助対象から外れます。必ず交付決定通知を確認してから発注してください。
私も相談の現場で、「補助金が先に入る」と誤解して資金計画を立ててしまい、支払いのタイミングで慌てたという事業者を見てきました。契約額が数百万円規模になる場合は、着金までのつなぎ資金をあらかじめ用意しておくと安心です。
交付申請から実績報告までの具体的な進め方は、AI導入補助金の申請のやり方|受給までの5ステップを解説で確認できます。
資金繰り以外にも申請段階でつまずくケースは多く、代表的な失敗パターンはAI導入補助金の申請に失敗する5つの原因と対策にまとめています。
まとめ: いくらもらえるかは枠選びで決まる
AI導入補助金でいくらもらえるかは、選ぶ枠によって大きく変わります。通常枠は上限5万円〜450万円、インボイス対応類型・電子取引類型は上限350万円というのが3つの枠の基本形です。契約額が50万円以下ならインボイス対応類型の高い補助率が有利です。契約額が大きく複数プロセスをカバーするなら、通常枠のほうが自社の契約内容に合いやすくなります。まずはこの見極めから始めてください。
試算は「契約金額を確認する」「申請枠を選ぶ」「補助率を掛けて上限額と照らす」の3ステップで、電卓があればすぐにできます。賃上げ要件のように、満たすかどうかで補助額が数十万円変わる条件もあるため、契約前に登録済みの支援事業者へ具体的な試算を依頼してみてください。
見積もりが固まる前の段階でも、契約額の目安さえあれば概算は十分に出せます。「思っていたより自己負担が大きい」という誤算を避けるためにも、ツール選定と並行して補助額の試算を早めに進めておくと、資金計画の見通しが立てやすくなります。まずは事務局のITツール検索で、導入したいツールがどの枠に登録されているかを確認するところから始めてみてください。
