名古屋の中小企業もIT導入補助金を使えます。制度は全国共通のため、名古屋だから補助率や上限額が下がることはありません。むしろ名古屋の事業者が押さえるべきは、国の制度に加えて愛知県と名古屋市が独自の補助金を持っている点です。3つは締切も上限額も別物で、知らずに国の制度だけを見ていると使えたはずの枠を逃します。本記事では、3制度の違い、名古屋で使える無料の相談窓口、2026年9月時点で間に合うスケジュールを公式情報の数値で整理します。
※ 2026年9月時点の情報です。公募スケジュールは回ごとに更新されるため、申請前に各公式サイトで最新の締切をご確認ください。
この記事でわかること
- 名古屋でIT導入補助金が使えるかどうかと、現在の制度名
- 国・愛知県・名古屋市の3制度の上限額と締切の違い
- 名古屋で無料相談できる窓口と、その使い分け
- 2026年9月時点で間に合う申請スケジュールと失敗例
名古屋でIT導入補助金は今も使えるのか
名古屋の中小企業もIT導入補助金を使えます。現在の名称はデジタル化・AI導入補助金2026です。制度が終わったわけではなく、2026年度から呼び方が変わりました。
名古屋で検索する経営者の多くは「地域限定の枠があるのでは」と考えて調べ始めます。実際には逆で、国の枠は全国一律。地域差が出るのは、県と市が上乗せで持っている独自制度のほうです。
自社が中小企業に当たるかどうかは業種区分で決まります。判定の基準はIT導入補助金の中小企業とは?で整理しました。
デジタル化・AI導入補助金2026の枠と補助上限額
国の制度は全国共通のため、名古屋だからといって補助率や上限額が変わることはありません。枠は通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠などに分かれます。
デジタル化・AI導入補助金2026の通常枠では、補助率が1/2以内(一定条件で2/3以内)、補助額は1プロセス以上で5万円以上150万円未満、4プロセス以上で150万円以上450万円以下と定められています。
補助対象になるのはソフトウェア購入費とクラウド利用料(最大2年分)。導入コンサルティングや研修費もオプションとして対象に含まれます。どのツールが該当するかはAI導入補助金の対象ツール6分野|対象外との見分け方で分野別に解説しました。
採択は自動ではありません。中小企業庁が2026年9月3日に公表した3次締切分の採択結果によると、申請5,913者に対し採択は2,601者、全体の採択率は44.0%でした。枠別では通常枠42.2%、インボイス対応類型44.7%、セキュリティ対策推進枠72.2%です。
半数以上が落ちる制度、という前提で臨むほうが準備の密度は上がります。
名古屋市・愛知県の独自補助金は何があるか
名古屋の事業者は国の制度に加えて、愛知県と名古屋市の独自補助金の2つを候補にできます。どちらも国の枠とは別に公募され、締切も上限額も違います。

名古屋市の制度は中小企業デジタル活用支援補助金です。公益財団法人名古屋産業振興公社が公開する制度概要によると、通常枠は補助率1/2・上限100万円、賃上げ枠は上限150万円、ロボット枠は上限500万円という構成でした。
採択予定件数は通常枠10件・賃上げ枠30件・ロボット枠5件の計45件。国の制度が数千者規模で採択されるのに対し、市の制度は枠が小さく競争が濃くなります。
2026年度の日程は、名古屋市新事業支援センターの相談開始が4月15日、名古屋商工会議所が5月1日、申請受付終了が6月1日16時でした。相談開始から締切まで約1か月半。来年度も同じ幅なら、年明けには準備を始める計算になります。
愛知県の制度は中小企業デジタル化・DX促進補助金です。県の特設サイトでは、補助率が中小企業1/2以内・小規模企業者2/3以内、補助上限額は200万円と示されています。業務フロー分析のコンサルティング費用まで対象に含む点が国の枠と違います。
県の制度には「あいち産業DX推進コンソーシアム」への加入が申請要件として設定されています。加入手続きの時間も逆算に入れてください。
国・市・県の3制度はどう使い分けるか
3制度は上限額と締切が違うため、導入したいツールの金額と時期から逆算して選びます。同じ経費で二重に受け取ることはできません。
| 項目 | 国:デジタル化・AI導入補助金2026 | 愛知県:デジタル化・DX促進補助金 | 名古屋市:デジタル活用支援補助金 |
|---|---|---|---|
| 補助上限額 | 450万円(通常枠4プロセス以上) | 200万円 | 500万円(ロボット枠) |
| 補助率 | 1/2以内(条件により2/3以内) | 中小1/2以内・小規模2/3以内 | 1/2 |
| 2026年度の締切 | 5次締切 2026年9月29日17時 | 2026年5月12日17時(終了) | 2026年6月1日16時(終了) |
| 特徴的な要件 | ITツールの事前登録が必須 | あいち産業DX推進コンソーシアム加入 | 窓口での事前相談が必須 |
| 向いているケース | 会計・受発注などソフト中心 | 業務フロー分析から着手したい | 設備・ロボット導入を含む |
表のとおり、2026年9月時点で新規に申請できるのは国の枠だけです。県と市の2026年度公募はすでに終了しています。
つまり名古屋の経営者にとって現実的な選択は、いま国の枠で申請しつつ、来年度の県・市の公募に向けて事前相談やコンソーシアム加入を進める二段構え。ソフトだけならまず国の枠、設備や自動化装置を含むなら市の枠を来年度に狙う形が組みやすくなります。
名古屋のどこに相談すればよいか
名古屋には市の支援センターと商工会議所という無料の相談窓口が2つあり、いずれも予約制で使えます。制度の選び方から相談できます。

1つ目は名古屋市新事業支援センターです。所在地は名古屋市千種区吹上二丁目6番3号・名古屋市中小企業振興会館5階。中小企業診断士やITコーディネータなどの資格を持つマネージャーが、無料で窓口相談に応じています。
営業は平日8時45分から17時15分まで。相談は事前予約制のため、思い立った日にそのまま行っても対応してもらえません。
私たちが申請支援に入るときも、着手の順番は書類作成ではなく予約枠の確保からです。締切から逆算して相談日を先に押さえ、その日までに見積と業務フローの現状を並べておくと、1回の相談で制度の適合可否まで判断が進みます。
2つ目は名古屋商工会議所です。同所が運営するPit-Nagoya(名古屋中小企業IT化推進コンソーシアム)は、公開情報によると160社を超えるIT企業ネットワークを持ち、年間100件以上の無料相談に対応しています。
補助金の申請書を書く前に、そもそもどのツールが自社に合うかを比べたい段階ならPit-Nagoyaが向きます。制度の適合可否や事業計画の詰めなら新事業支援センター。目的で窓口を分けると相談が早く終わります。
IT導入支援事業者は名古屋の会社を選ぶべきか
支援事業者に地域の制限はありません。名古屋の会社を選ぶ利点は訪問対応のしやすさだけです。所在地よりツールとの相性を優先してください。
デジタル化・AI導入補助金では、事業者が単独で申請することはできません。あらかじめ登録されたIT導入支援事業者と組み、導入するITツールも登録済みのものから選ぶ仕組みになっています。
候補はITツール・IT導入支援事業者検索で確認できます。名古屋市内に絞り込むこともできますが、絞り込みを強くしすぎると、必要な業務プロセスを持つツールが候補から外れることがあります。
当社はAI導入補助金の登録支援事業者として、対象ツールの選定から申請書類の作成、採択後の実績報告まで一貫して支援しています。支援の現場で相談が多いのは「担当者と対面で話せるか」という点。クラウド型の会計ソフトや受発注ソフトであれば、導入設定も研修もオンラインで完結する例が大半です。
所在地だけで選び、自社の業務プロセスに合わないツールを勧められるのがいちばん避けたい形になります。判断材料は、同業種での導入実績と、交付申請の共同作業をどこまで担ってくれるか。この2点です。
申請に必要なGビズIDプライムの取得手順はAI導入補助金のGビズID取得方法にまとめました。
名古屋の申請でよくある失敗3つ
名古屋で多い失敗は、市の補助金の事前相談要件を見落として締切に間に合わない形です。制度ごとに前提条件が違う点が原因になります。

1つ目は、事前相談を後回しにするパターンです。名古屋市の補助金は、名古屋市新事業支援センターまたは名古屋商工会議所での相談を受けることが申請要件になっています。相談は予約制。締切間際に予約を取ろうとしても枠が残っていません。
2つ目は、県の制度でコンソーシアム加入を忘れるパターン。愛知県の補助金は「あいち産業DX推進コンソーシアム」への加入が要件です。加入していない状態で書類を作り込んでも申請は通りません。
3つ目は、交付決定前に契約や発注をしてしまうパターンです。補助対象になるのは交付決定後の支出のみ。先に発注した費用は、採択されても補助対象から外れます。導入を急ぐ気持ちが裏目に出る典型例です。
不採択の理由を細かく分解した内容はAI導入補助金の申請に失敗する5つの原因と対策で扱っています。
名古屋で今から申請する4ステップ
2026年9月時点で間に合うのは国の5次締切で、期限は2026年9月29日17時です。交付決定は2026年11月9日が予定されています。

最初にGビズIDプライムとSECURITY ACTIONの宣言を済ませます。GビズIDは発行までに日数がかかるため、ここが遅れると締切に届きません。
次にIT導入支援事業者と導入ツールを決めます。通常枠は業務プロセスを1種類以上持つツールが条件で、汎用プロセスのみでは申請できません。
3番目が交付申請です。事業者と共同で申請し、交付決定の通知を待ちます。契約と発注は決定後。ここを守れば対象経費として認められます。
最後が実績報告。導入と支払いを終えたら証憑をそろえて報告し、交付額が確定します。書類の作り方はAI導入補助金の実績報告の書き方を参照してください。
今回の5次締切に間に合わない場合でも、準備した書類は次回以降にそのまま使えます。並行して名古屋市新事業支援センターへの相談予約を取っておけば、来年度の市の枠にも動けるようになります。
まとめ: 名古屋では「国の枠で今動き、県と市は来年度に備える」
名古屋の中小企業が押さえるべきは、国の枠は全国共通で今も申請できること、県と市の2026年度公募は終了していることの2点です。地域名で探しても、国の制度に名古屋限定の優遇はありません。
いま動くなら国の5次締切。2026年9月29日17時までに、GビズIDプライムの取得とIT導入支援事業者の選定を終える必要があります。準備の遅れがそのまま機会損失になる期間です。
同時に、名古屋市新事業支援センターへの相談予約とあいち産業DX推進コンソーシアムへの加入も進めておいてください。市の枠は上限500万円、県の枠は上限200万円。来年度の公募が始まった時点で要件を満たしていれば、初動で差がつきます。
2020年3月創業の当社は大阪市東成区を拠点に、店舗集客とAI活用を支援してきました。地域は違っても、補助金の申請と実績報告でつまずく箇所は共通しています。制度選びの段階で迷ったら、書類を作り始める前にご相談ください。
