IT導入補助金でいう中小企業者は、業種ごとに定められた資本金の額または従業員数のどちらか一方を満たす事業者を指します。製造業・卸売業・サービス業・小売業で基準が異なり、資本金と従業員数の両方を満たす必要はありません。本記事では、業種別の基準表と、自社が対象になるかを確認する手順を2026年8月時点の情報で整理します。
※ 2026年8月時点の情報です。
この記事でわかること
- 業種別の資本金・従業員数の基準
- 資本金と従業員数、どちらで判定すればよいか
- 小規模事業者との違い
- 自社が対象になるかを確認する3ステップ
IT導入補助金の「中小企業者」とは
IT導入補助金の中小企業者とは、業種ごとに定められた資本金の額または従業員数のどちらか一方の基準を満たす事業者です。両方を満たす必要はなく、どちらか一方で足ります。
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私たちは登録支援事業者としてIT導入補助金の申請支援に携わっていますが、「資本金が基準を超えているから対象外だと思っていた」という相談を受けることがあります。資本金だけで判断せず、従業員数の基準も確認すると、対象になるケースは少なくありません。
事務局の通常枠ページでも、対象者は中小企業・小規模事業者と案内されており、業種による基準の違いは公的な統計・支援制度全般で共通して使われている考え方です。まずは自社の業種がどの区分に当てはまるかを確認するところから始めましょう。
業種別の資本金・従業員数の基準
中小企業者の基準は、製造業等・卸売業・サービス業・小売業の4区分で異なります。資本金の額と従業員数のどちらか一方が基準以下であれば該当します。
近い論点を東京都のJCIP電子申請で扱っています。

| 業種区分 | 資本金の額 | 従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
医療法人・クリニックの対象条件を整理した解説でも、資本金3億円以下・従業員300人以下という製造業等の基準が紹介されています。自社がどの業種に当てはまるかは、主たる事業内容(売上構成の中心)で判断します。複数業種を営んでいる場合は、最も売上比率の高い事業で判定するのが基本的な考え方です。
小規模事業者の基準と優遇される補助率
小規模事業者は中小企業者よりさらに厳しい従業員数基準で区分され、一部の申請枠で補助率が優遇されます。製造業その他は20人以下、商業・サービス業は5人以下が目安です。
あわせて大阪府のJCIP電子申請もご覧ください。
| 業種区分 | 小規模事業者の従業員数 |
|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業その他 | 20人以下 |
| 商業(卸売業・小売業)・サービス業 | 5人以下 |
補助金ポータルが整理したデジタル化・AI導入補助金2026の概要で説明されているとおり、インボイス対応類型の50万円以下部分では、小規模事業者は中小企業者より高い補助率が適用されます。自社が中小企業者の基準に加えて小規模事業者の基準まで満たすかどうかで、実際に受け取れる補助額が変わることを押さえておいてください。枠ごとの補助率の詳しい計算例はAI導入補助金はいくらもらえる?3つの枠の上限額と計算例にまとめています。
自社が対象になるかを確認する3ステップ
自社が対象になるかは、業種の確認・資本金と従業員数の確認・その他の対象要件の確認という3ステップで判断できます。順番に確認すれば、判断に迷う場面は減ります。
関連する内容としてe-Gov電子申請とはも公開しています。

- 自社の業種を確認する: 製造業等・卸売業・サービス業・小売業のどの区分に当てはまるかを、主たる事業内容で判断します。
- 資本金と従業員数を確認する: 区分ごとの基準表と照らし合わせ、どちらか一方を満たしているかを確認します。
- 対象要件も確認する: 資本金・従業員数の基準を満たしていても、納税状況や過去の採択実績などの要件を別途確認する必要があります。
弊社が相談を受ける中でも、業種の判定を誤ったまま資本金だけで対象外と判断してしまうケースが目立ちます。自社の主たる事業がサービス業なのか小売業なのかで基準が変わるため、迷う場合は両方の基準で確認しておくと安全です。
具体的な例で考えてみます。資本金1,000万円・従業員80名のITサービス業を想定します。サービス業の基準は資本金5,000万円以下または従業員100人以下です。この場合はどちらの基準も満たすため、中小企業者に該当します。
別の例も見てみましょう。資本金6,000万円・従業員40名の小売業を考えます。資本金は小売業の基準(5,000万円以下)を超えています。しかし従業員数は基準(50人以下)を満たすため、これも中小企業者に該当します。このように、資本金と従業員数のどちらか一方さえクリアしていればよいという点を忘れると、実際には対象なのに申請をあきらめてしまうことがあります。
自社が複数の許認可・事業部門を持つ場合も、判定の基準になるのはグループ全体ではなく、申請する法人・個人事業主単位の資本金・従業員数です。持株会社の傘下にある場合を除けば、関連会社の規模を合算する必要はありません。この点も、判定を誤りやすいポイントの一つです。
資本金・従業員数以外に必要な対象要件
中小企業者の基準を満たしていても、税金の未納・滞納がないことや、直近の採択実績など、別の対象要件を満たす必要があります。基準表だけで判断を終えないよう注意してください。
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資本金・従業員数の基準を満たしていても、法人税・消費税の未納がある場合や、直近の公募回で既に採択・交付を受けている場合は対象外になることがあります。基準表の確認だけで安心せず、その他の要件も併せて確認してください。
具体的な必要書類や納税証明書の準備については、AI導入補助金の納税証明書はどれ?その1とその2の違いで解説しています。
申請全体の流れを先に把握したい場合は、AI導入補助金の申請のやり方|受給までの5ステップを解説も参考にしてください。
過去の採択実績についても注意が必要です。直近の公募回で既に交付決定を受けている場合、次の公募回では申請できないことがあります。何回目の公募まで間隔を空ければよいかは公募回ごとに案内されるため、事務局の最新情報を都度確認してください。
税金の未納・滞納についても、法人税・消費税いずれかに未納があると対象外になります。決算・確定申告の直後は納税状況を確認する時間的な余裕が少なくなりがちなので、申請を検討し始めた段階で早めに確認しておくことをおすすめします。中小企業者の基準・小規模事業者の基準・その他の対象要件は、それぞれ別の物差しであることを意識しておくと、準備の抜け漏れを防げます。
判断に迷いやすいケース
判断に迷いやすいのは、大企業の子会社にあたる「みなし大企業」と、複数業種を営む事業者のケースです。いずれも基準表だけでは判断しきれません。
大企業が株式の過半数を保有しているなど、実質的に支配されている子会社は、資本金・従業員数の基準を満たしていても「みなし大企業」として対象外になることがあります。グループ会社の一員として事業を営んでいる場合は、資本構成まで確認しておく必要があります。
複数の事業を営んでいる場合は、主たる事業内容で業種を判定するのが基本です。製造業とサービス業を兼業しているようなケースでは、どちらの基準を使うかで対象・対象外が入れ替わることもあります。判断に迷う場合は、両方の基準で確認したうえで、支援事業者に相談するのが確実です。
みなし大企業の判定では、株式保有比率だけでなく、役員構成や実質的な経営の関与も確認対象になります。大企業の資本が一部入っているだけで即座に対象外になるわけではありませんが、過半数を大企業が保有している場合は注意が必要です。資本構成の見直しを検討している場合は、申請のタイミングと合わせて確認しておくと手戻りを防げます。
フランチャイズ加盟店のように、本部と契約関係にあっても資本関係がない場合は、加盟店自身の資本金・従業員数で判定します。本部の規模と混同して対象外だと思い込むケースもあるため、契約形態と資本関係は別物として整理しておくとよいでしょう。迷ったときほど、契約書と資本構成図を並べて確認する習慣が、判断のぶれを防いでくれます。
中小企業の定義を勘違いしやすい注意点
中小企業の定義で勘違いが起きやすいのは、資本金だけで判断してしまう点と、従業員数の確認を省略してしまう点です。基準はどちらか一方を満たせばよいため、片方だけで対象外と決めつけないでください。

私も申請の相談で、資本金の基準だけを見て申請をあきらめかけていた事業者が、従業員数の基準では対象内だったケースを何度か見てきました。資本金と従業員数はセットではなく「どちらか一方」で判定するという点を思い出すだけで、対象外だと思い込んでいた事業者が実は対象内だったと分かることがあります。
大企業の子会社であることに気づかずに申請を進めてしまう例もあるため、資本構成が複雑な場合は、早い段階で支援事業者に確認しておくと手戻りを防げます。持株会社化やM&Aを検討している事業者は、資本構成が変わるタイミングで中小企業者の判定結果も変わりうる点を、事前に把握しておくと安心です。
自社が補助金の対象になるかどうかは、3分の適性診断(無料・8問)で確かめられます。登録は不要で、その場で点数が出ます。
まとめ: 資本金・従業員数はどちらか一方の基準を満たせばよい
IT導入補助金の中小企業者は、業種ごとに定められた資本金の額または従業員数のどちらか一方を満たせば該当します。製造業等・卸売業・サービス業・小売業で基準が異なるため、まず自社の業種を確認し、基準表と照らし合わせることが最初の一歩です。
資本金だけで対象外と判断せず、従業員数の基準も併せて確認してください。小規模事業者に該当すれば補助率が優遇される場合もあるため、両方の基準を確認しておくと、自社が受けられる補助の全体像が見えてきます。
基準表を一度確認しておけば、次回以降の申請でも同じ物差しを使い回せます。業種区分・資本金・従業員数・小規模事業者該当の有無を、社内で一枚のメモにまとめておくと、担当者が変わっても判断がぶれません。申請のたびに毎回調べ直す手間を省くためにも、早い段階で整理しておくことをおすすめします。
自社の業種や資本構成で判断に迷う場合は、無料相談で状況を伝えていただければ、対象になるかどうかを一緒に確認できます。登録支援事業者としての知見を、ぜひ活用してください。
