介護事業所がAI導入補助金でもらえる額は、介護記録ソフトや見守り機器なら介護テクノロジー導入支援事業(介護ICT補助金)で職員数に応じて100万円から250万円、会計や受発注など汎用ツールなら一般のデジタル化・AI導入補助金で上限450万円まで補助されます。制度が2つに分かれているため、どちらを使うかで補助額も自己負担も大きく変わります。本記事では2制度の補助額の目安と選び方を2026年9月時点の情報で整理します。
※ 2026年9月時点の情報です。介護テクノロジー導入支援事業は都道府県ごとに公募内容が異なるため、詳細は事業所がある都道府県の最新の公募要領でご確認ください。
この記事でわかること
- 介護事業所が使える2つの補助金制度の違い
- 介護ICT補助金の職員数別の上限額
- 一般のAI導入補助金を使う場合の上限額
- どちらを選ぶべきかの判断基準
介護事業所が使えるAI導入補助金は「介護特化型」と「一般型」の2つある
介護事業所が使える補助金は、介護テクノロジー導入支援事業(介護ICT補助金)と、一般のデジタル化・AI導入補助金の2つに分かれます。どちらも「AI導入補助金」と呼ばれることがあり、混同している事業所が少なくありません。
当社はAI導入補助金の登録支援事業者として、対象ツールの選定から申請書類の作成、採択後の実績報告まで一貫して支援しています。介護事業所からの相談では、この2制度の違いを知らないまま一般のAI導入補助金だけを検討しているケースが目立ちます。
一般のAI導入補助金は、2025年度補正予算からIT導入補助金の名称が変わった制度です。名称は変わりましたが、対象ツールを登録済みのソフトウェアから選ぶ仕組み自体は従来と同じです。
対象になる機器も上限額も、この2つの制度でまったく別物です。次の章のテーマは、それぞれの補助額の目安。
介護テクノロジー導入支援事業(介護ICT補助金)の補助額の目安
介護記録ソフトの補助基準額は、職員数に応じて100万円から250万円です。要件を満たすと、補助率は最大3/4まで上がります。

| 職員数 | 補助基準額 |
|---|---|
| 1〜10人 | 100万円 |
| 11〜20人 | 150万円 |
| 21〜30人 | 200万円 |
| 31人以上 | 250万円 |
情報端末を含める場合は1台10万円が上限で加算されます。ケアプランデータ連携を5事業所以上で実施すると、さらに5万円が加算されます。
補助率は3段階です。所定の要件をすべて満たす場合は3/4、それ以外は1/2、定着支援事業と協働化事業を合わせて実施する場合は4/5まで上がります。厚生労働省が2026年4月に都道府県へ発出した実施要綱に基づく基準です。
対象になる機器は介護記録ソフトだけではありません。見守りカメラ、排泄予測センサー、移乗支援スーツ、自動走行型電動車椅子などの介護ロボット、インカムも対象です。
契約金額が上限額を超えていても、申請自体ができなくなるわけではありません。上限額までが補助の対象になり、超えた分は全額自己負担になります。契約前に見積金額と上限額を照らし合わせておくと、想定外の自己負担を避けられます。
一般のデジタル化・AI導入補助金を使う場合の補助額の目安
会計・受発注など汎用的なAIツールを導入する場合は、一般のデジタル化・AI導入補助金が対象になります。通常枠は上限450万円まで補助されます。
中小企業庁が公開している2026年度の公募要領によると、社会福祉法人・医療法人も、従業員300人以下などの要件を満たせば対象に含まれます。介護事業所の多くが対象になり得るということです。
補助率は通常枠で1/2以内ですが、賃上げなど一定の条件を満たすと2/3まで引き上げられます。介護記録ソフトのような介護特化ツールではなく、勤怠管理や請求書処理などの汎用ツールを検討している場合は、この制度が主な選択肢になります。
自社の従業員数が対象の範囲に収まるかどうかは、中小企業庁が示す中小企業の定義の従業員数基準も参考にしてください。
介護ICT補助金の対象にならない機器でも、一般のAI導入補助金なら対象になることがあります。両制度を組み合わせて検討する視点が欠かせません。
対象になる経費は、ソフトウェアの利用料、導入時の設定費、データ移行や操作研修の費用などです。パソコン単体の購入や、保守だけの契約は対象外になることが多いため、見積書の内訳を事前に確認してください。
どちらを使うべきか|対象ツールで選ぶ3つの判断基準
判断の軸は、導入する機器が介護特化かどうかです。介護記録ソフトや見守り機器なら介護ICT補助金、それ以外の汎用ツールなら一般のAI導入補助金を軸に考えます。

| 比較項目 | 介護ICT補助金 | 一般のAI導入補助金 |
|---|---|---|
| 対象機器 | 介護記録ソフト・見守り機器等 | 会計・受発注等の汎用ツール |
| 上限額 | 100万〜250万円 | 通常枠で最大450万円 |
| 補助率 | 1/2〜3/4(条件で4/5) | 1/2以内(条件で2/3) |
| 実施主体 | 都道府県 | 中小企業庁 |
具体的には、見守りセンサーやインカム、訪問介護の記録アプリは介護特化ツールとして介護ICT補助金の対象になりやすい機器です。一方、請求書処理やシフト作成を助けるAIツール、社内向けのチャットボットのように介護業務に限定されない汎用ツールは、一般のAI導入補助金の対象として検討します。
判断に迷う場合は、導入したい機器の名前を都道府県の公募要領で検索するとはっきりします。介護記録ソフトという名称そのものが、要綱に載っていることがほとんどです。
自己負担がいくら残るかを試算する3ステップ
自己負担は、対象経費から補助額を引いた金額です。見積書を先に確認しないと、想定より負担が重くなることがあります。

私たちが相談を受ける際は、まず導入したい機器がどちらの制度の対象かを確認します。次に職員数や契約金額を当てはめて上限額を出し、最後に補助率を掛けて自己負担額を試算する、という順番で進めています。
たとえば職員数15人の事業所が150万円の介護記録ソフトを導入する場合、上限額150万円の範囲内であれば、補助率3/4なら自己負担は37万5,000円です。補助率が1/2にとどまると、自己負担は75万円まで増えます。
職員数が多い事業所ほど上限額も上がります。職員数35人の事業所が250万円の見守り機器一式を導入し、上限額250万円の範囲に収まる場合、補助率3/4なら自己負担は62万5,000円、補助率1/2なら自己負担は125万円です。同じ金額を導入しても、補助率の条件を満たすかどうかで自己負担は2倍近く変わります。
介護事業所が申請でつまずきやすい注意点
介護ICT補助金・AI導入補助金のどちらも、交付決定前の発注は補助の対象から外れます。都道府県ごとにスケジュールが異なる分、日程管理でつまずく事業所が目立ちます。
介護ICT補助金・AI導入補助金のいずれも、交付決定の通知が届く前に発注・契約・支払いをすると補助の対象から外れます。見積もりの段階で先走らないよう注意してください。
介護事業所特有の注意点は、都道府県ごとに公募回数とスケジュールが違うことです。介護ICT補助金は都道府県によって公募が年1回だけということもあります。
複数の事業所を運営している法人の場合、事業所ごとに申請単位が分かれることもあれば、まとめて申請できることもあります。都道府県の窓口への事前相談は、手戻りを防ぐための近道。
実績報告では、発注書・契約書・請求書・支払いを証明する書類の提出を求められます。日付の前後関係が交付決定通知より後になっているかを、発注のたびに確認してください。書類の日付が1日でも前後すると、実績報告の段階で差し戻しになることがあります。
私たちが介護事業所の申請を支援する中では、複数の事業所を運営する法人ほど、書類の日付管理が事業所間でばらつきやすいという傾向を見てきました。本部で発注日と支払日の一覧表を作り、事業所ごとに共有しておくと、実績報告の直前になって慌てることが減ります。
同じ年度に両方の補助金を使う場合の考え方
同じ経費に両方の補助金を申請することはできません。ただし、導入する機器が別であれば、同じ年度に介護ICT補助金と一般のAI導入補助金を別々に使うことは可能です。
たとえば、見守り機器の導入には介護ICT補助金を使い、請求書処理を助けるAIツールの導入には一般のAI導入補助金を使う、という組み合わせです。どちらの制度で申請したかを事業所内で記録しておかないと、実績報告の段階で経費の切り分けに迷います。
複数の制度を併用する場合は、契約書や見積書の時点で対象経費をどちらの制度に計上するかを決めておくと、実績報告がスムーズに進みます。
介護テクノロジー導入支援事業の申請窓口と流れ
介護ICT補助金は都道府県が実施主体のため、申請窓口も都道府県ごとに異なります。まず事業所がある都道府県の福祉担当部署か、委託を受けた事務局のページを確認します。
申請の流れは、交付申請書の提出、都道府県による審査、交付決定の通知、発注・納品、実績報告という順に進みます。交付決定の通知を受け取るまで発注できない点は、一般のAI導入補助金と共通のルールです。
一般のAI導入補助金の申請の流れはAI導入補助金の申請のやり方|受給までの5ステップを解説で解説しているとおり、GビズIDの取得から実績報告まで5ステップで進みます。介護ICT補助金も、交付申請と実績報告が必要な点は共通しています。
一般のAI導入補助金全体の枠組みと上限額はAI導入補助金はいくらもらえる?3つの枠の上限額と計算例で詳しく整理しています。介護事業所が電子申請・届出への対応を進める場合は、介護事業所の電子申請・届出システムとは?義務化はいつからかもあわせてご確認ください。
まとめ: 機器の種類で使う制度を決める
介護事業所の補助額は、機器が介護特化か汎用かで大きく変わります。介護記録ソフトや見守り機器なら介護ICT補助金、会計や受発注などの汎用ツールなら一般のAI導入補助金が主な選択肢。
まず導入したい機器の名前を都道府県の公募要領で検索し、対象になる制度を先に確定させてください。制度が決まれば、上限額と補助率から自己負担は電卓で出せます。
介護ICT補助金は都道府県ごとに公募のスケジュールが異なり、一般のAI導入補助金は全国共通のスケジュールで進みます。どちらも交付決定前の発注は対象外になるため、導入時期から逆算して早めに動き始めることが、補助額を取りこぼさないための一番の近道です。
制度の詳細は年度ごとに見直されます。申請の直前ではなく、導入を検討し始めた時点で最新の公募要領を確認する習慣をつけてください。古い年度の情報のまま計画を進めると、上限額や補助率の前提がずれてしまいます。
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