事業再構築補助金の新規公募は、第13回(2025年3月締切)で終了しています。新しく申請する場合の後継は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」です(制度のまとめ)。すでに採択された事業者の事業化状況報告などの手続きは続きます。
※ 後継制度は新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の第1回公募情報を基準にしています。
この記事でわかること
- 美容室で採択されてきた活用事例3パターン
- 建設業で採択されてきた活用事例3パターン
- 脱毛・エステ新メニューと美容師法の関係
- 新分野展開と建設業許可の関係
- 今使える後継制度の対象経費
- 個人事業主でも申請できるかどうか
美容室も建設業も対象だったが、募集は2025年3月に終了
結論として、事業再構築補助金は美容室も建設業も対象で、業態転換や新分野展開の投資が数多く採択されてきました。ただし2025年3月26日の第13回公募をもって新規申請の受付を終了しています。個人事業主も資本金要件なしで申請でき、従業員20人以下の小規模な美容室も対象でした。
業種による除外はありませんでした。美容室に限らず、工務店・とび業者・型枠業者など幅広い建設業も申請しています。
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事業再構築補助金の事務局公式サイトには「本補助金の公募は終了しております」と明記されています。第13回公募の採択結果は、応募3,100者に対し採択1,101者で、採択率は26.5%でした。過去形の制度であることを前提に、事例を参考情報として読み進めてください。
私たちはAI導入補助金の登録支援事業者として、対象ツールの選定から、申請に向けた相談・助言、採択後の実績報告まで一貫して支援しています(申請書類はお客様が作成し、私たちは内容の確認と助言を行います)。美容室オーナーや建設業の経営者から「事業再構築補助金を使いたい」という相談は今も届きますが、まず制度の現状を正確に伝えるところから始めています。
脱毛・エステ・オリジナル美容液|美容室で採択された3事例
美容室の採択事例は、業態転換・新分野展開・事業再編という3つのパターンに大別できます。単なる設備更新ではなく、既存メニューからの転換を伴う投資が採択の軸でした。
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1つ目は業態転換です。パーマ・カット中心だった美容室が、個室完備のセルフ脱毛・ハイフ専門サロンへ転換する投資が代表例でした。託児サービスを付加価値として加え、子育て中の客層を取り込む計画も採択されています。
2つ目は新分野展開です。美容師として培った施術ノウハウを生かし、オリジナル美容液を開発してECサイトや実店舗で販売する計画が採択されていました。カット・カラー需要に左右されない売上の柱を作る投資です。
3つ目は事業再編です。既存店舗の空きスペースを改装し、40〜60代向けのエステブースやヘッドスパ専門ブースを新設する計画が該当します。共通するのは「今のメニューの延長」ではなく新しい事業の形への転換。この一点が採択の分かれ目でした。
例えば、カット専業の美容室がエステブースへ転換し、契約額1,000万円の設備投資を行うとします。補助率2/3が適用されれば約667万円が補助される計算です。投資規模と自己負担額を早めに試算しておくと、事業計画書の説得力が増します。
断熱改修・太陽光・元請け化|建設業で採択された3事例
建設業の採択事例も、業態転換・新分野展開・事業再編という同じ3パターンに整理できます。違うのは、転換の起点が既存メニューではなく既存工事である点です。
1つ目は業態転換です。新築工事が中心だった工務店が、断熱・省エネ改修に特化した業態へ転換する投資が代表例でした。専用の施工機材を導入し、既存住宅向けの提案体制を新設する計画などが該当します。
2つ目は新分野展開です。建築で培った施工ノウハウを生かし、太陽光発電設備の設置・保守事業に参入する計画が採択されていました。新築需要の波に左右されない売上の柱を作る投資です。美容室のオリジナル美容液と同じく、本業の技術を別の収益源へ広げる形です。
3つ目は事業再編です。下請け専業だったとび・型枠業者が、自社受注の外構工事やリノベーション事業を新設し、元請け化する計画が該当します。美容室の空きスペース活用と考え方は同じで、今ある資源の使い道を変える投資でした。
例えば、下請け専業の工務店が外構・リノベ事業へ転換し、契約額1,500万円の設備投資を行うとします。補助率2/3が適用されれば1,000万円が補助される計算です。
業種別の許認可の壁|美容師免許と建設業許可
新分野への転換では、新しいメニューや工事が今の免許・許可の範囲に収まるかを早めに確認する必要があります。この点は、美容室と建設業に特有の注意点です。
美容室|医療レーザー脱毛は美容師免許では実施できない
美容師法では「美容」を、パーマネントウエーブ・結髪・化粧等の方法により容姿を美しくすることと定義しています。カット・カラー・パーマといった従来のメニューはこの範囲に収まります。
医療レーザー脱毛は医療行為に該当するとされ、医師の関与なしに美容師だけで施術することはできません。脱毛サロンへ転換する場合は、レーザーの出力方式や施術体制を事業計画書の段階で整理してください。
光美容(IPL等)と医療レーザーの違いに迷う場合は、事業計画書の作成前に機器メーカーや専門家へ確認しておくと手戻りが少なくなります。私も相談の現場で、出力方式の確認を後回しにして、採択後に機器選定をやり直した美容室オーナーを見てきました。
建設業|29業種の区分をまたぐと許可の追加取得が必要
建設業許可は29の業種に区分されており、取得済みの許可業種と異なる工事を主体とする事業に転換する場合、許可の追加取得や更新が必要になることがあります。たとえば、内装工事の許可のみで断熱改修に本格参入すると、工事の主体が管工事や熱絶縁工事の区分にまたがるケースが出てきます。
新分野の工事内容が既存の許可業種の範囲に収まるか、事業計画書の作成と同時に確認してください。採択後に許可の不足が判明すると、事業の立ち上げ自体が遅れます。
許可業種の判断に迷う場合は、事業計画書の提出前に管轄の建設業許可行政庁へ相談しておくと手戻りが少なくなります。私も相談の現場で、許可業種の確認を後回しにして、採択後に慌てて申請し直した建設業の経営者を見てきました。確認の遅れが響く構図は、美容室の機器選定とまったく同じです。
制度はどこへ?新事業進出・ものづくり補助金への道のり
2026年8月時点で美容室・建設業が使えるのは「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」です。事業再構築補助金から2段階先の制度にあたります。

事業再構築補助金は2025年6月に中小企業新事業進出補助金へ引き継がれ、この制度も2026年6月19日の第4回公募で終了しました。第1回公募要領は2026年6月29日に公開され、申請受付は2026年9月30日に始まりました。締切は当初の9月30日から変更された2026年10月30日18時です(2026年10月20日に公式サイトで確認)。
中小企業基盤整備機構の制度公式サイトでは、新市場・高付加価値事業への進出や海外市場開拓に向けた設備投資が対象と説明されています。制度名が短期間で変わっているため、古い記事の情報を鵜呑みにしないことが大切です。
対象になる投資・ならない投資|美容室と建設業の線引き
対象になるのは新業態専用の設備で、既存設備の単純な入替や更新は業種を問わず対象外です。美容室なら脱毛機器、建設業なら施工機械が中心になります。

美容室の場合は次のとおりです。
| 経費区分 | 美容室での具体例 | 備考 |
|---|---|---|
| 機械装置・システム構築費 | 脱毛・ハイフ機器、EC販売システムの構築 | 新業態への転換が前提 |
| 専門家経費 | 新分野展開の事業計画策定支援 | 機械装置費と組み合わせて計上 |
| 対象外の例 | シャンプー台・パーマ機の単純入替、内装のみのリフォーム | 生産性向上と直結しない投資 |
建設業の場合は、対象になる設備の中身が入れ替わります。
| 経費区分 | 建設業での具体例 | 備考 |
|---|---|---|
| 機械装置・システム構築費 | ドローン測量機、断熱改修用の専用施工機材 | 新業態への転換が前提 |
| 専門家経費 | 新分野展開の事業計画策定支援 | 機械装置費と組み合わせて計上 |
| 対象外の例 | 既存工事の汎用重機更新、単純な営業車両購入 | 生産性向上と直結しない投資 |
「設備が古くなったから」「重機が古くなったから」という理由だけでは、対象経費が組み立てられません。投資の目的を「新しい事業の形」に据え直す必要があります。
審査で重視されるのは、機器や機材のスペックではなく投資後の数値の根拠です。美容室なら客単価や来店頻度、建設業なら施工日数や受注件数の変化が問われます。「魅力的なメニューにする」「効率化する」とだけ書いて、変化を数字で示せていない事業計画書は、審査側に伝わりにくくなります。
客層設計と元請け化|業種別に審査で見られる点
美容室は客層と施術体制、建設業は契約の名義整理が、他業種以上に問われます。設備投資の中身より、誰に何をどう提供するかの説明が採否を分けます。
美容室|個室化・託児サービスは客層設計とセットで示す
脱毛・エステへの転換では、施術内容と客層の説明が曖昧になりがちです。個室数・スタッフ体制・想定客層を事業計画書の段階で具体的に示す必要があります。託児サービスを付加価値にする場合は、保育の担当人員や安全管理の体制もあわせて説明できるよう準備してください。
新メニューの立ち上げを急ぐあまり、スタッフ教育が整う前に集客を強めてしまうと、接客品質が追いつかず、実績報告の段階でつまずくこともあります。事業計画書には、投資後のスタッフ体制をどう整えるかまで具体的に盛り込んでおくと、審査側にも実現性が伝わりやすくなります。
建設業|下請けから元請けへ転換するなら名義を整理する
元請け・下請けが混在する現場では、投資の主体と実際に効果が及ぶ範囲が説明しにくくなりがちです。
申請主体を明確にし、新設する事業(外構・リノベーションなど)の受注・契約が自社名義で完結する体制を、事業計画書の段階で示す必要があります。元請けとしての実績が乏しい場合は、施工体制台帳の整備状況もあわせて説明できるよう準備してください。
元請け化を急ぐあまり、体制が整う前に大型の外構・リノベ案件を受注してしまうと、施工品質や工程管理が追いつかず、実績報告の段階でつまずくこともあります。ここも美容室と同じで、投資後の体制づくりまで書けているかが分かれ目です。
従業員規模別の補助上限額と申請までの流れ
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の補助上限額は、枠と従業員規模により750万円〜2,500万円が目安です。美容室・建設業とも、革新的新製品・サービス枠か新事業進出枠が候補になります。
| 枠 | 従業員規模 | 補助上限額の目安 | 補助率 |
|---|---|---|---|
| 革新的新製品・サービス枠 | 1〜5人 | 750万円 | 中小1/2・小規模2/3 |
| 新事業進出枠 | 1〜20人 | 2,500万円 | 中小1/2 |
中小企業庁が公開した第1回公募要領では、申請に電子申請システムでのGビズIDプライムの取得が必要と説明されています。取得までに2〜3週間かかるため、締切ぎりぎりでは間に合いません。
採択されても、交付決定の通知を受け取る前に美容機器や施工機材を発注・契約すると、その経費は補助対象になりません。見積もりの取得までにとどめ、契約は交付決定後に進めてください。
GビズIDプライムを取得したら、新業態への転換計画を含む事業計画書を作成し、電子申請システムから提出します。補助率は経費の全額が出るわけではなく、あくまで一部負担が前提です。自己負担分の資金計画を先に立ててから申請準備を始めると、採択後に資金繰りで慌てずに済みます。
美容室・建設業がやりがちな3つのつまずき
よくある失敗は、終了した制度情報のままの準備、既存事業の延長頼みの計画、交付決定前の発注という3つです。いずれも情報収集の段階で防げます。
1点目は、「事業再構築補助金」の名前のまま古い公募要領を参考にしてしまうケースです。現行の後継制度とは対象経費や必要書類の要件が食い違います。2点目は、美容室ならシャンプー台やパーマ機の入替、建設業なら重機の入替や単純な車両購入を主目的にしたまま申請してしまうケースです。3点目は、採択の連絡を受けてすぐに機器を発注し、対象経費から外れてしまうケースです。
業種特有のつまずきも重なります。美容室では美容師免許の範囲を超えるメニュー設計や施術体制の説明不足、建設業では元請け・下請けの名義混乱や許可業種の見落としが原因になります。
当社は登録支援事業者として、対象ツールの選定から、申請に向けた相談・助言、採択後の実績報告まで一貫して支援しています(申請書類はお客様が作成し、当社は内容の確認と助言を行います)。業種ごとの経費区分や免許・許可の要否に迷う場合は、無料相談で投資内容を伝えてください。
まとめ|免許・許可の範囲確認と制度の乗り換えを
事業再構築補助金は、美容室の脱毛サロン転換も、建設業の新分野展開も数多く採択されてきた制度でした。ただし2025年3月26日の第13回公募をもって新規申請の受付を終了しました。今から申請することはできません。
今すぐ確認すべきは、新しいメニューや工事が美容師免許・建設業許可の範囲に収まるかと、後継制度である新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の対象経費です。過去の事例は参考にしつつ、申請の手続きは現行制度に沿って進めてください。
私たちは登録支援事業者として、美容室・建設業を含む多くの事業者の申請に伴走してきました。制度の切り替わりで何を使えばよいか分からないときは、1人で判断せず早めに相談してください。公募要領は毎回見直されるため、申請の直前には必ず最新情報を確認してください。

