事業再構築補助金はクリニックも対象でしたが、対象になったのは個人開業医と収益事業を行う社会医療法人に限られ、一般の医療法人は制度の要件を満たさず対象外でした。「事業再構築補助金 クリニック」で調べている場合、まず押さえるべきは法人形態によって対象・対象外が分かれていた事実です。本記事では対象の判定基準、個人開業医の採択事例、2025年3月の公募終了後に使える後継制度を2026年8月時点の情報で整理します。
※ 2026年8月時点の情報です。後継制度は新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の第1回公募情報を基準にしています。
この記事でわかること
- 個人開業医と医療法人で対象・対象外が分かれた理由
- クリニックで採択された事業計画の事例
- 後継の新事業進出・ものづくり補助金でも医療法人が対象外な理由
- 個人開業医が申請するときに確認すべき要件
クリニックは事業再構築補助金の対象だったが、医療法人は原則対象外
個人開業医は申請できましたが、一般の医療法人は制度の要件を満たさず対象外でした。この違いは、他の業種にはないクリニック特有の事情です。
事業再構築補助金の事務局公式サイトには「本補助金の公募は終了しております」と明記されています。第13回公募の採択結果は、応募3,100者に対し採択1,101者で、採択率は26.5%でした。
私たちはAI導入補助金の登録支援事業者として、対象ツールの選定から申請書類の作成、採択後の実績報告まで一貫して支援しています。クリニックの経営者からは「うちは対象になるのか」という相談を、法人形態の違いも含めてよく受けます。
対象になった法人・ならなかった法人|個人開業医と医療法人の違い
対象は個人開業医と収益事業を行う社会医療法人に限られ、一般の医療法人は対象外でした。この線引きは、事業内容ではなく法人の性質そのものによる判定です。

事業再構築補助金の医療法人対象条件を解説する記事によると、個人開業医は出資額3億円以下・従業員300人以下を満たせば対象でした。一方、大病院(病床400以上)・大学病院・特定機能病院・医療法人財団は明確に対象外とされています。
| 法人形態 | 対象可否 | 備考 |
|---|---|---|
| 個人開業医 | 対象 | 出資額3億円以下・従業員300人以下 |
| 社会医療法人 | 対象 | 収益事業を行う場合に限る |
| 一般の医療法人 | 対象外 | 中小企業等経営強化法・法人税法別表第二のいずれにも非該当 |
| 大病院・大学病院・医療法人財団 | 対象外 | 病床400以上、または無償寄付による設立 |
医療法人化を検討している個人開業医は、法人化のタイミングで補助金の対象・対象外が入れ替わる可能性がある点にも注意してください。分院展開を計画している場合も同様です。法人化して医療法人社団になった時点で、事業再構築補助金や後継制度の対象から外れるため、拡大の順番を誤ると使える補助金の選択肢が狭まります。法人化前に確認すべきは、使いたい補助金の対象要件。
なぜ医療法人は対象外なのか|制度上の理由
医療法人が対象外だったのは、中小企業等経営強化法にも法人税法別表第二にも該当しない法人だからです。業種や事業内容ではなく、法人の制度上の位置づけが判定基準でした。
医療法人と事業再構築補助金の関係を解説する記事では、医療法人は運営に関する規定上、収益業務を行うことが想定されていない法人だと説明されています。
個人開業医のときは対象でも、医療法人化した後は一般の医療法人として対象外に変わることがあります。法人化を検討する際は、使いたい補助金の対象要件も合わせて確認してください。
私も相談の現場で、医療法人化を先に進めてから補助金の対象外に気づいたという開業医の話を聞いたことがあります。法人化と補助金活用の順番は、早めに整理しておく必要があります。
視覚教育事業とオンライン診療転換|個人開業医の採択事例3選
個人開業医の採択事例では、既存の診療科の枠を超えた新事業への転換が共通しています。保険診療の延長ではなく、新しい収益の柱を作る計画が採択の軸でした。

TOMAコンサルタンツグループが紹介する採択事例では、整形外科・リハビリテーション科を営む個人開業医が、ビジョントレーニングを提供するメディカル・コンディショニングサポート事業と、子どもの視覚教育サポート事業という2つの新事業で採択されています。
別の事例では、皮膚科クリニックが婦人科を新規開設し、オンライン診療への対応を組み合わせて採択されました。保険診療だけに頼らず、地域のニーズに合わせて診療科そのものを広げる計画が評価されています。
CT・電子カルテ導入による検査体制のDX投資も、個人開業医の採択パターンのひとつです。既存機器の単純更新ではなく、新しい検査・診療体制の構築を伴う投資が条件になります。
制度はどこへ?後継の新事業進出・ものづくり補助金でも医療法人は対象外
事業再構築補助金は2025年6月に中小企業新事業進出補助金へ引き継がれましたが、医療法人が対象外という基本構造は変わっていません。個人開業医は要件を満たせば、後継制度でも申請できます。
事業再構築補助金は2025年3月26日の第13回公募で新規受付を終了し、新事業進出補助金も2026年6月19日の第4回公募で終了しました。中小企業基盤整備機構の制度公式サイトによると、現在は新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の第1回公募要領が2026年6月29日に公開され、申請受付は2026年8月31日に始まる予定です。
医科の医療法人は、新事業進出・ものづくり補助金でも補助対象者に含まれません。個人開設のクリニックは、従業員数等の要件を満たせば引き続き対象です。制度名が短期間で変わっているため、古い記事の情報を鵜呑みにせず、申請の直前に最新の公募要領を確認してください。
他業種の後継制度への移行は事業再構築補助金は個人事業主もいつまで?後継3制度の使い方でも整理しています。
個人開業医が対象にできる投資・できない投資
後継制度で個人開業医が対象にできるのは、新事業に直結する設備投資です。既存の診療機器を同じ用途のまま更新するだけの投資は対象になりません。
| 経費区分 | クリニックでの具体例 | 備考 |
|---|---|---|
| 機械装置・システム構築費 | 新設する診療科の検査機器、オンライン診療システム | 新事業への転換が前提 |
| 専門家経費 | 新分野展開の事業計画策定支援 | 機械装置費と組み合わせて計上 |
| 対象外の例 | 既存の診療機器の単純入替、通常の内装リフォームのみ | 新事業への転換を伴わない投資 |
「古くなったから買い替える」という理由だけでは、対象経費として認められません。投資の目的を「新しい診療・事業の形」に据え直す必要があります。
クリニックのIT導入を中心に検討している場合は、クリニックのIT導入補助金|予約システム選びの5つの視点で対象範囲を解説しています。電子カルテ等の基本的な対象ツールはAI導入補助金はクリニックも対象?電子カルテ3分野の補助額にまとめています。
個人開業医が申請するときに気をつけたい3つの注意点
よくある失敗は、保険診療への依存を残したままの計画、交付決定前の発注、分院展開時の法人形態の整理不足という3つです。いずれも申請前の準備段階で防げます。

1点目は、新事業の計画が既存の保険診療の延長にとどまり、転換の説得力を欠くケースです。診療科を増やすだけでなく、誰にどんな価値を提供する事業なのかを数字で示す必要があります。2点目は、採択の連絡を受けてすぐに機器を発注し、対象経費から外れてしまうケースです。
採択されても、交付決定の通知を受け取る前に検査機器等を発注・契約すると、その経費は補助対象になりません。見積もりの取得までにとどめ、契約は交付決定後に進めてください。鉄則は、交付決定が出るまで契約しないこと。
3点目は、分院展開を検討している医療法人が、法人形態の整理を後回しにしてしまうケースです。個人開業医のまま分院を増やすのか、途中で医療法人化するのかによって、使える補助金の選択肢が変わってきます。当社は登録支援事業者として、対象ツールの選定から申請書類の作成、採択後の実績報告まで一貫して支援しています。法人形態や対象経費の判断に迷う場合は、早めに相談してください。
従業員規模と補助上限額|個人開業医が確認すべき申請要件
個人開業医は出資額3億円以下・従業員300人以下を満たせば、事業再構築補助金の対象でした。補助金の上限額は事業者・枠によって異なりますが、事業者あたり8,000万円〜1億円規模まで対応する制度設計です。
| 項目 | 基準 | 備考 |
|---|---|---|
| 出資額 | 3億円以下 | 個人開業医は中小企業者として扱われる |
| 従業員数 | 300人以下 | 常勤換算での確認が必要 |
| 補助上限額の目安 | 8,000万円〜1億円 | 事業者・枠により変動 |
例えば、皮膚科の個人開業医が婦人科新設に伴う検査機器・オンライン診療システムに2,000万円を投じるとします。補助率2/3が適用されれば約1,333万円が補助される計算で、自己負担は667万円程度に抑えられます。投資規模と自己負担額を早めに試算しておくと、事業計画書の説得力が増します。
GビズIDの取得は、他の補助金と同様に申請の前提になります。取得までに2〜3週間かかるため、締切ぎりぎりでは間に合いません。
小規模な投資であれば、小規模事業者持続化補助金はクリニックで使える?対象と注意点のほうが向いている場合もあります。設備投資の規模が大きい場合は、ものづくり補助金はクリニックで使える?対象と注意点もあわせて確認してください。他業種の事例は事業再構築補助金の飲食店活用事例3選と今の申請方法でも整理しています。
まとめ|法人形態の確認と後継制度への切り替えを
事業再構築補助金は、クリニックも個人開業医であれば対象になり、視覚教育事業やオンライン診療転換などの新事業で採択されてきました。ただし一般の医療法人は制度の要件を満たさず、対象外でした。
クリニックが今すぐ確認すべきは、自院が個人開業医か医療法人かという法人形態と、後継制度である新事業進出・ものづくり商業サービス補助金での対象可否です。優先すべきは、法人形態の再確認。過去の事例は参考にしつつ、申請の手続きは現行制度に沿って進めてください。
私たちは登録支援事業者として、法人形態によって対象・対象外が分かれる補助金の申請に伴走してきました。判断に迷うときは、1人で抱え込まず早めに相談してください。公募要領は毎回見直されるため、申請の直前には必ず最新情報を確認してください。
