小規模事業者持続化補助金は、建設業でも従業員20人以下または一人親方であれば申請できる補助金です。販路開拓につながる広報費やウェブサイト制作費、汎用性の低い専用機材の導入費まで対象になりますが、車両や単純な設備更新は対象外です。本記事では、建設業が該当する要件、対象になる経費とならない経費の判定基準、補助率・上限額、現在進行中の第20回公募のスケジュールを2026年8月時点の情報で整理します。
※ 2026年8月時点の情報です。
この記事でわかること
- 建設業が対象になる従業員数の基準
- 対象になる経費とならない経費の違い
- 補助率・補助上限額の目安
- 現在進行中の公募のスケジュール
小規模事業者持続化補助金とは|建設業も使える制度
小規模事業者持続化補助金は、小規模な事業者の販路開拓や生産性向上に使える経費の一部を補助する制度です。業種を問わず申請でき、建設業も対象に含まれます。
対象になる範囲は、小規模事業者持続化補助金|エステサロン対象経費と5人以下基準で解説しています。
建設業は対象になりますが、小規模事業者持続化補助金はクリニックだと医師・歯科医師や医療法人が対象外になるなど、業種による線引きは制度ごとに確認が必要です。
実際の進め方は小規模事業者持続化補助金|美容室の書き方4ステップでも扱っています。
建設業向けの補助金というと、機械や設備への投資が中心の新事業進出・ものづくり商業サービス補助金や、ITツール導入が中心のAI導入補助金をイメージする経営者が多いはずです。持続化補助金はそれらと異なり、広報やホームページ制作など「知ってもらう・問い合わせを増やす」ための投資に強い制度です。
私たちが建設業の相談を受ける中でも、「見積もり以外の販路が名刺と紹介しかない」「HPが古くて問い合わせが来ない」という声をよく聞きます。持続化補助金は、こうした販路の弱さを補う投資の後押しとして設計されています。
制度全体の対象条件や他制度との使い分けは小規模事業者持続化補助金は中小企業も対象|3制度の使い分けで解説しています。まずは自社が建設業でどの従業員数基準に当てはまるかを次の章で確認してください。
建設業で「小規模事業者」に該当する条件|従業員20人以下と一人親方
建設業は、常時使用する従業員が20人以下であれば小規模事業者に該当します。商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)の5人以下より基準が緩やかです。
| 業種区分 | 従業員数の基準 |
|---|---|
| 建設業・製造業・その他 | 20人以下 |
| 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) | 5人以下 |
| 宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
パート・アルバイトも、常時雇用している状態であれば人数に含まれます。一方、下請けに出している協力会社の職人や、直接雇用関係のない派遣社員は人数に含めません。従業員を雇用していない一人親方も、小規模事業者として申請対象になります。
中小企業庁の小規模事業者持続化補助金の案内ページでも、建設業は「その他の業種」として従業員20人以下が基準と示されています。元請け・下請けが混在する建設業では、自社の常用従業員数を正確に数え直すところから始めてください。
建設業で対象になる経費|広報費・ウェブサイト関連費・機材装置費
建設業で対象になりやすいのは、広報費・ウェブサイト関連費・汎用性の低い機材装置費の3区分です。いずれも販路開拓につながる目的が明確であることが条件です。

広報費は、会社案内のチラシ・DM、現場に掲示する看板、展示会への出展費などが該当します。地域の工務店や職人事業者は、紹介や口コミに依存しているケースが多く、名刺や会社案内を刷新するだけでも申請対象になり得ます。
ウェブサイト関連費は、施工実績を掲載するHP制作や、問い合わせフォームの新設が該当します。見た目のリニューアルだけでなく、「問い合わせが来る導線を作る」という目的を事業計画書に明記してください。
機材装置費は、補助事業の実施に直接必要な機材の購入費です。用途が限定される測量機器や、特定の工法にしか使わない専用工具は対象になり得ます。中小企業庁が公開する持続化補助金の対象経費の考え方でも、通常の事業活動で使う汎用品は対象外とされています。
建設業で対象外になる経費|車両・汎用機械・単純更新の判定
トラックや乗用車など汎用性の高い車両は、原則として対象外です。建設業からの相談で最も誤解が多いポイントです。

| 経費の種類 | 対象になるか | 判断のポイント |
|---|---|---|
| 営業車・トラックの購入 | 対象外 | 汎用性が高く用途を限定できない |
| 老朽化した工具の単純な入替 | 対象外 | 現状維持のための購入とみなされる |
| 用途限定の測量機器・専用工具 | 対象 | 補助事業の目的に直結すると説明できる |
| 施工実績を載せたHP制作 | 対象 | 問い合わせ導線の新設が目的として明確 |
汎用性の高い車両は対象外ですが、用途が限定される特殊車両は対象になり得ます。個別の機材が該当するかは、事業計画書の作成前に商工会議所へ確認してください。
判断基準は一貫していて、「その投資がなくても既存業務が回るか」「販路開拓という目的に直結しているか」の2点です。古くなったから買い替える、という理由だけでは通りません。見積書の取得段階から、投資の目的を数字や具体的な効果とあわせて整理しておくと、事業計画書の作成がスムーズになります。
補助率・補助上限額|賃金引上げ特例とインボイス特例の上乗せ
補助上限額は通常枠で50万円、賃金引上げ特例とインボイス特例を併用すると最大250万円まで広がります。補助率は3分の2が基本です。
| 申請枠 | 補助上限額 | 補助率 |
|---|---|---|
| 通常枠 | 50万円 | 3分の2 |
| 賃金引上げ特例(上乗せ) | +150万円 | 3分の2(赤字事業者は4分の3) |
| インボイス特例(上乗せ・併用可) | +50万円 | 同上 |
賃金引上げ特例は、対象期間に在籍する従業員の給与支給総額を年平均3%以上増加させる計画がある場合に選べます。建設業は人手不足への対応として賃上げを検討している会社が多く、特例の対象になりやすい業種のひとつです。
インボイス特例は、免税事業者からインボイス発行事業者に転換した小規模事業者が対象です。一人親方や個人事業主の職人は、インボイス転換のタイミングで申請を検討するケースも少なくありません。両特例は併用できるため、通常枠の50万円と合わせて最大250万円まで補助上限を引き上げられます。
第20回公募のスケジュールと申請までの流れ
現在進行中の第20回公募は、2026年12月15日17時が応募締切です。採択発表は2027年3月頃が見込まれています。
中小企業庁が公開した第20回公募要領の案内によると、公募要領は2026年5月27日に公開され、事業支援計画書の発行受付は応募締切より前に締め切られる運用になっています。日程は公募回ごとに変わるため、申請直前には必ず最新の公募要領を確認してください。

申請の前に、必ず管轄の商工会議所・商工会へ相談し、事業支援計画書(様式4)の発行を受けてください。これがないと申請自体ができません。第20回は事業支援計画書の発行受付が2026年12月4日までとなっており、応募締切より前に締め切られる点に注意が必要です。
電子申請システムjGrantsから申請し、採択発表後に交付決定通知が届いてから発注・契約に進みます。交付決定前に発注すると、その経費は補助対象から外れます。
建設業は繁忙期・閑散期の差が大きい業種です。現場が立て込む時期に事業計画書の作成が重なると、内容が薄くなりがちです。次回以降の公募を狙う場合も含めて、比較的余裕のある時期から準備を進めてください。
建設業が申請でつまずきやすい3つの失敗パターン
建設業でつまずきやすいのは、事業支援計画書の取得遅れ、車両費の誤申請、元請け・下請けの名義混乱の3点です。制度自体の難しさより、建設業特有の事業構造が原因になりがちです。
1つ目は、商工会議所への相談を後回しにして、事業支援計画書の発行締切に間に合わなくなるケースです。応募締切だけを見て準備を進めると、書類の発行締切を見落としがちになります。
2つ目は、営業車やトラックの購入費を機材装置費として申請してしまうケースです。「仕事で使うから」という理由だけでは、汎用性の高い車両は対象になりません。事業計画書の作成段階で、対象外経費が含まれていないか確認してください。
3つ目は、元請け・下請けが混在する現場で、契約や発注の名義をどちらの会社にするか整理できていないケースです。私たちが建設業から受ける相談でも、申請主体と実際に投資を使う現場の関係が説明しにくいという声を聞きます。申請前に、投資の主体と効果が及ぶ範囲を明確にしておくことが重要です。
当社はAI導入補助金の登録支援事業者として、建設業からの補助金活用の相談を数多く受けてきました。持続化補助金の相談でも、事業支援計画書の取得タイミングでつまずくケースを繰り返し見ています。
建設業向けの他制度(AI導入補助金・ものづくり補助金)との使い分け
販路開拓・広報中心なら持続化補助金、ITツール導入中心ならAI導入補助金、設備投資中心なら新事業進出・ものづくり商業サービス補助金が向いています。目的によって適した制度が変わります。
| 項目 | 持続化補助金 | AI導入補助金 | ものづくり商業サービス補助金 |
|---|---|---|---|
| 主な目的 | 販路開拓・広報 | ITツール導入 | 機械装置等への設備投資 |
| 補助上限額 | 最大250万円 | 最大450万円 | 750万円〜2,500万円 |
| 建設業での使いどころ | HP制作・広報・小型機材 | 施工管理・積算ソフト | 建設機械・生産設備の入替 |
施工管理アプリの導入を検討している場合は建設業の2024年問題をAI導入補助金でどう埋めるかを参考にしてください。機械設備への投資が中心の場合はものづくり補助金|建設業の採択事例3業種と上限9,000万円もあわせて確認してください。
対象経費が重複していなければ、同一年度に複数の補助金へ申請すること自体は可能です。ただし公募スケジュールと実績報告の期限は制度ごとに別管理になるため、申請枠ごとに準備状況を分けて管理してください。広報・HP制作と施工管理アプリの導入を同時に進めたい場合は、どちらを先に着手するか優先順位を決めておくと、事業計画書の作成で迷いにくくなります。
まとめ: 建設業は「販路開拓の目的」を先に言語化する
小規模事業者持続化補助金は、建設業でも従業員20人以下・一人親方であれば申請できる制度です。広報費やHP制作費、汎用性の低い専用機材まで対象になりますが、車両や単純な設備更新は対象外という線引きを最初に理解しておく必要があります。
「何を買うか」ではなく「その投資でどんな問い合わせ・受注につながるか」を先に言葉にすることが、事業計画書を通す一番の近道です。第20回は2026年12月15日締切、事業支援計画書の発行はそれより前に締め切られるため、商工会議所への相談は早めに動いてください。
自社が対象要件を満たすか、どの制度を使うべきか迷う場合は、無料相談で申請要件から一緒に確認できます。元請け・下請けが混在する現場では、申請主体の整理を早めに済ませておくと、交付決定後の手続きもスムーズに進みます。
