※ 公募回・締切・補助率は、SIIの4次公募の公募要領(2026年10月版)で確かめました。
この記事でわかること
- 中小企業が今申請できる省エネ補助金の種類と締切
- 設備単位型と工場・事業場型の選び方
- 補助率・下限額から逆算した設備費の目安
- 交付決定から完了まで1か月余りという日程の注意点
中小企業が使える省エネルギー補助金は?2026年10月時点の答え
国の省エネ補助金の中心は、SIIの省エネ・非化石転換補助金で、4次公募が10月30日まで受付中です。3次公募は9月28日に締め切られ、10月5日から4次公募が始まりました。
この補助金は申請の単位で2つに分かれます。設備1台ずつを入れ替える設備単位型と、工場や事業所全体の使い方を見直す工場・事業場型です。
中小企業者等には、資本金か従業員数の基準を満たす会社に加え、個人事業主も入ります。従業員300人以下の医療法人や社会福祉法人も、中小企業者等として扱われます。
国の補助金全体から目的別に選びたい場合は、中小企業庁の補助金6制度の早見表を先に見ると整理しやすくなります。
設備単位型と工場・事業場型はどう選ぶ?
空調や照明を数台入れ替えるなら設備単位型、事業所全体の使い方を変えるなら工場・事業場型を選びます。判断の分かれ目は、省エネの効果を「設備ごと」に示すか「事業所全体」で示すかです。

| 項目 | 設備単位型 | 工場・事業場型(中小企業投資促進枠) |
|---|---|---|
| 省エネを示す単位 | 更新する設備ごと | 事業所全体 |
| 補助率 | 1/3以内〜1/2以内(区分による) | 1/2以内(投資回収5年未満は1/3以内) |
| 下限額 | 30万円 | 100万円 |
| 省エネ要件の例 | 省エネ率10%以上など | 省エネ率+非化石割合増加率7%以上など |
| 向いている投資 | 空調・照明・給湯器の更新 | 生産ラインや熱源の組み替え |
工場・事業場型には、中小企業者等だけが使える中小企業投資促進枠があります。ただし事業所全体の省エネ計算が要るため、専門の事業者と組んで計画を作る会社が多い区分です。
判断の目安は次のとおりです。更新したい設備がSIIの補助対象設備一覧に載っているなら、設備単位型から検討してください。オーダーメイドの設備や、複数工程をまとめて変える計画なら、工場・事業場型が候補になります。
補助率と上限額はいくら?枠ごとの計算例
設備単位型の補助率は従来枠で1/3以内、トップ性能枠の更新で1/2以内で、下限は30万円です。補助率と上限は、中小企業者等も大企業も同じ表で決まります。
| 設備単位型の区分 | 補助率 | 上限額 |
|---|---|---|
| 設備単位型〔従来枠〕 | 1/3以内 | 1億円 |
| GX設備単位型〔メーカー強化枠〕 | 1/3以内 | 3億円 |
| GX設備単位型〔トップ性能枠〕 | 更新1/2以内・新設1/5以内 | 3億円 |
| 電化・脱炭素燃転型 | 更新・改造1/2以内・新設1/5以内 | 3億円(電化は5億円) |
出典はSIIの設備単位型 4次公募の公募要領です。
ここからは、公募要領の数字を使った試算です。従来枠で補助金30万円の下限に届くには、税抜の設備費が90万円以上必要になります。補助率1/3のため、30万円の3倍が境目です。トップ性能枠の更新なら1/2のため、60万円が境目になります。
設備費600万円の空調更新なら、従来枠で最大200万円、トップ性能枠の更新で最大300万円が補助の上限の目安です。消費税は補助対象外なので、税抜の金額で計算してください。
私たちが補助金の相談を受けていると、「補助率だけを見て、下限額を見ていなかった」という声をよく聞きます。照明を数台だけ替える計画は、下限に届かず申請できないことがあります。
対象になる設備と省エネ要件は?
設備単位型の対象は、SIIが基準を定めて公表した指定設備15区分への更新です。15区分は、ユーティリティ設備10区分と生産設備5区分に分かれます。

ユーティリティ設備は、高効率空調・産業ヒートポンプ・業務用給湯器・高性能ボイラ・高効率コージェネレーション・低炭素工業炉・変圧器・冷凍冷蔵設備・産業用モータ・制御機能付きLED照明器具の10区分です。生産設備は、工作機械・プラスチック加工機械・プレス機械・印刷機械・ダイカストマシンの5区分です。
省エネ要件は、次の3つのうちどれか1つを満たせば足ります。
- 省エネ率が10%以上
- 省エネ量が原油換算で1kl以上
- 経費当たりの省エネ量が1kl/千万円以上
トップ性能枠の高効率空調には、クラウド上のAI制御で省エネを深める電気式パッケージエアコンが含まれます。AIを使った設備でも、補助の窓口は空調としてSIIになる点を押さえてください。
替える設備が決まらないときは?省エネ診断から始める
替える設備が決まっていないなら、補助金の申請より先に省エネ診断で電気と燃料の使い方を測ります。省エネ要件を満たすかは、今の設備の使い方が分からないと計算できないためです。
SIIは、補助金とは別に「地域エネルギー利用最適化・省エネルギー診断拡充事業」も執行しています。省エネ診断と、その後の伴走支援を、特設WEBサイトから申し込める事業です。費用や対象の条件は、申し込みの前に特設サイトで確かめてください。
判断の分かれ目は、更新したい設備の型番が言えるかどうかです。
- 型番が決まっている:補助対象設備一覧で型番を確かめ、10月30日の締切に向けて3者見積を取る
- 決まっていない:省エネ診断で使い方を測り、効果の大きい設備から順に候補を絞る
診断を待つと、4次公募の締切には間に合わないことがあります。その後の公募があるかは、SIIの発表を待つ必要があります。急ぐ理由が故障などで無いなら、診断で候補を絞ってから申請するほうが、要件を外す失敗は減らせます。
4次公募のスケジュールは?完了までの期間に注意
4次公募は交付決定が12月下旬の予定で、事業完了は2027年1月31日までです。交付決定から完了まで、1か月余りしかありません。

- 10月30日17時必着で申請書類を郵送する
- 12月下旬の交付決定を待つ(この前に発注しない)
- 2027年1月31日までに設置・検収・支払いを終える
- 完了から30日以内か2月5日の早い日までに実績報告を出す
- 補助金は2027年1月末〜3月末に支払われる
事業完了とは、設備の検収と補助対象経費の支払いが終わった日です。設備代は一度全額を立て替えることになり、補助金はその後に入ります。資金の流れは補助金の着金時期の目安の考え方と同じです。
納期の長い設備は、単年度では間に合わないことがあります。設備単位型は最大2年の複数年度事業も申請できるため、メーカーの納期を先に確かめてから区分を決めてください。
申請前に確かめる5つの条件
設備単位型の申請前には、事業者・見積・発注時期・設備の使い方・他の補助金の5点を確かめます。どれか1つ欠けると、交付決定の後でも補助が受けられないことがあります。
| 確かめること | 公募要領の決まり |
|---|---|
| 事業者の条件 | 個人事業主は青色申告者。設備の所有者が直近決算で債務超過なら対象外 |
| 見積 | 異なる販売事業者3者以上に見積を依頼する(2026年3月25日以降の発行) |
| 発注の時期 | 契約・発注は交付決定日以降に行う |
| 設備の使い方 | 事業活動に使っていない設備や、居住用の設備は対象外 |
| 他の補助金 | 補助対象経費が重なる併用は不可。自治体の一般財源による補助金は併用可 |
中小企業経営強化税制との併用は認められています。工場・事業場型について、SIIは圧縮記帳の対象になる国庫補助金に当たると国税庁から回答を得た、と案内しています。税務の扱いは、顧問の税理士に確かめてください。
資本金や従業員数が中小企業の基準に入るか迷うときは、中小企業者の7区分の判定も目安になります。最終的な判断は、SIIの公募要領の定義で行ってください。
よくある失敗と避け方
省エネ補助金のつまずきは、発注の時期・下限額・制度の取り違えの3つに集まります。
交付決定の前に業者と契約すると、その設備は補助の対象外になります。起きやすいのは、夏場の空調の故障で急いで発注した場合です。原因は、見積の取得と契約を同じ扱いにしたことにあります。見積は交付決定前に取ってよく、契約は交付決定を待つ、と分けて進めれば避けられます。
2つ目は、更新する台数が少なく、補助額が下限30万円に届かない失敗です。原因は、補助率だけで試算したことです。複数の設備をまとめて1件で申請できないか、計画の段階で検討してください。
3つ目は、人手を減らす機器と省エネ設備の取り違えです。配膳ロボットや自動精算機は、省エネではなく省力化の制度が窓口です。違いは中小企業省力化投資補助金の解説で確かめてください。
申請の要件に自社が当てはまるかは、3分の適性診断(無料・8問)で確かめられます。登録は不要で、その場で点数が出ます。
省エネ設備とAI・ITツールの補助金はどう分ける?
設備の更新はSIIの省エネ補助金、業務のソフトはデジタル化・AI導入補助金と、経費を分けて考えます。同じ経費を2つの補助金に出すことはできません。
たとえば工場で、古いコンプレッサーを替えつつ、生産管理のソフトも入れたいとします。コンプレッサーが指定設備なら省エネ補助金、生産管理のソフトならデジタル化・AI導入補助金が候補です。経費が分かれていれば、それぞれの要件で検討できます。
反対に、電気代の削減だけが目的で業務の流れは変えないなら、ソフトの補助金を無理に組み合わせる必要はありません。設備の更新に集中したほうが、申請の手間も小さく済みます。
当社はAI導入補助金の登録支援事業者として、対象ツールの選定から、申請に向けた相談・助言、採択後の実績報告まで一貫して支援しています(申請書類はお客様が作成し、当社は内容の確認と助言を行います)。
2020年3月の創業以来、大阪市東成区を拠点に中小企業のAI活用を支援してきました。製造業でのITツールの使い方は製造業のIT導入補助金の活かし方にまとめています。
まとめ: 締切10月30日までに区分と設備費を決める
中小企業の省エネ設備の更新には、SIIの省エネ・非化石転換補助金が使えます。4次公募の締切は2026年10月30日17時必着です。
今日できる一歩は、更新したい設備の型番がSIIの補助対象設備一覧に載っているかを確かめることです。載っていれば設備単位型、載っていない特注の設備なら工場・事業場型を検討してください。
設備と一緒に業務のAI・ITツールも見直すなら、AI導入補助金の無料相談で申請要件の確認から実績報告まで伴走します。
※ 公募の内容は回ごとに変わります。最新の情報はSIIの設備単位型 4次公募のページと工場・事業場型のページで確かめてください。

