小規模事業者持続化補助金は、自動車整備業もサービス業として従業員5人以下なら申請できる補助金です。看板・チラシ・ホームページ制作といった販路開拓の投資が対象になる一方、部品代や外注修理費、汎用車両の購入は対象外です。本記事では、自動車整備業が該当する従業員基準、対象になる経費とならない経費の線引き、補助率・上限額、現在進行中の第20回公募のスケジュールを2026年9月時点の情報で整理します。
※ 2026年9月時点の情報です。第20回(2026年12月15日締切)の公募要領を基準にしています。
この記事でわかること
- 自動車整備業が対象になる従業員数の基準
- 対象になる経費とならない経費の違い
- 補助率・補助上限額の目安
- ものづくり補助金・IT導入補助金との使い分け
小規模事業者持続化補助金とは|自動車整備業も対象
小規模事業者持続化補助金は、小規模な事業者の販路開拓や生産性向上に使う経費の一部を補助する制度です。業種を問わず申請でき、自動車整備業も対象に含まれます。
関連して、ものづくり補助金の給与支給総額とは?個人事業主の計算3ステップもあわせてご確認ください。
整備業向けの補助金というと、設備投資が中心のものづくり補助金は自動車整備業も対象|設備投資750万円目安をイメージする経営者が多いはずです。予約・見積システム導入が中心の自動車整備業のIT導入補助金2026|スキャンツールは対象外になる理由を思い浮かべる方もいます。持続化補助金はそれらと異なり、看板・チラシ・ホームページ制作など「新しいお客さまを増やす」ための投資に強い制度です。
私たちが整備工場の相談を受ける中でも、「車検の案内は常連客への電話だけ」「HPが無く検索されても出てこない」という声をよく聞きます。持続化補助金は、こうした新規顧客への露出不足を補う投資の後押しとして設計されています。
制度全体の対象条件や他制度との使い分けは小規模事業者持続化補助金は中小企業も対象|3制度の使い分けで解説しています。まずは自社が整備業でどの従業員数基準に当てはまるかを次の章で確認してください。
サービス業として対象、自動車整備業の従業員5人以下の数え方
自動車整備業はサービス業に区分され、常時使用する従業員が5人以下であれば小規模事業者として対象になります。建設業・製造業(20人以下)より基準が厳しい点に注意してください。
| 業種区分 | 従業員数の基準 |
|---|---|
| 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) | 5人以下 |
| 建設業・製造業・その他 | 20人以下 |
| 宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
中小企業庁の小規模事業者持続化補助金の案内ページでも、自動車整備業は日本標準産業分類上「サービス業」に位置づけられ、常時使用する従業員5人以下が基準と示されています。同じ持続化補助金でも、小規模事業者持続化補助金2025|建設業の対象条件と経費で扱った建設業は20人以下が基準となり、整備業とは判定ラインが異なります。
パート・アルバイトも、常時雇用している状態であれば人数に含まれます。一方、外部の板金塗装業者への外注や、直接雇用関係のない派遣スタッフは人数に含めません。整備士1〜2名の個人経営の整備工場も、法人と同じ基準で小規模事業者として申請対象になります。
具体例で考えます。整備士4名・事務員1名の整備工場を想定すると、常時使用する従業員は5名で基準ちょうどに収まります。ここに繁忙期だけ雇う短期アルバイトを1名加えると基準を超えるため、契約形態と雇用期間を事前に整理しておくと判定で迷いません。
看板・チラシ・HP制作、対象になる経費の3区分
自動車整備業で対象になりやすいのは、広報費・ウェブサイト関連費・機械装置等費の3区分です。いずれも新規顧客の獲得につながる目的が明確であることが条件です。

広報費は、工場前の看板刷新、車検・板金塗装のチラシやポスティング、展示会への出展費などが該当します。地域密着の整備工場は、常連客からの紹介や通りがかりの認知に依存しているケースが多く、看板や名刺を刷新するだけでも申請対象になり得ます。
ウェブサイト関連費は、自社ホームページの制作や、予約フォームの新設が該当します。自動車整備業の採択事例を整理した解説記事でも、工場前の看板刷新や自社ホームページの制作、待合スペースの改装が「新しいお客さまを増やすための費用」として紹介されています。ウェブサイト関連費は単独では申請できず、広報費など他の経費区分と組み合わせる必要があります。
機械装置等費は、対応できる車種やサービスを拡大するエアーコンプレッサーなど、補助事業の実施に直接必要な専用設備の導入費が該当します。既存業務の単純な設備更新ではなく、新サービスへの展開につながる投資であることを事業計画書で説明してください。
部品代・外注修理費・汎用車両は対象外という線引き
通常の整備業務でかかる部品代や外注修理費、汎用性の高い車両の購入は対象外です。整備業からの相談で最も誤解が多いポイントです。

| 経費の種類 | 対象になるか | 判断のポイント |
|---|---|---|
| 交換用の部品代・外注修理費 | 対象外 | 通常の事業活動で日常的に発生する費用 |
| 営業車・代車の購入 | 対象外 | 汎用性が高く用途を限定できない |
| 工場前の看板・自社HP制作 | 対象 | 新規顧客の獲得という目的が明確 |
| 対応車種を広げる専用設備 | 対象 | 販路開拓・生産性向上の効果を説明できる |
整備そのものにかかる部品代や、他社への外注修理費は通常の事業活動の一部とみなされ対象外です。あくまで新規顧客の獲得や生産性向上に直結する投資に限られます。
判断基準は一貫していて、「その投資がなくても既存業務が回るか」「新規顧客の獲得という目的に直結しているか」の2点です。老朽化したから買い替える、という理由だけでは通りません。
私も相談の現場で、「代車として使っている軽自動車も補助対象になるはず」と考えていた整備工場の経営者に出会ったことがあります。汎用性の高い車両は、業務に使っていても対象外という扱いになる点は見落とされがちです。
エアーコンプレッサー等の設備投資、ものづくり補助金との使い分け
数十万円規模の専用設備投資は持続化補助金、数百万円規模のリフト・塗装ブース投資はものづくり補助金が向きます。同じ「設備投資」でも、投資規模によって使うべき制度が変わります。
持続化補助金の機械装置等費は、既存業務を補強する小規模な設備導入に向いています。たとえば、対応できる作業を広げるエアーコンプレッサーを1台追加するようなケースです。一方、リフトや塗装ブースの入れ替えのような数百万円規模の投資は、補助上限額の大きいものづくり補助金のほうが投資額に見合います。設備の対象範囲はものづくり補助金は自動車整備業も対象|設備投資750万円目安で詳しく解説しています。
予約管理や見積・請求システムのようなITツール導入だけを検討している場合は、自動車整備業のIT導入補助金2026|スキャンツールは対象外になる理由も参考になります。ソフト単体の導入なら手続きの負担が軽いIT導入補助金、広報・HP制作を中心にした販路開拓なら持続化補助金と考えると選びやすくなります。
投資内容を「既存業務の補強か」「新たな販路開拓か」で整理すると、どの制度に申請すべきかを判断しやすくなります。対象経費が重複していなければ、同一年度に複数の補助金へ申請すること自体は可能です。
通常枠50万円から最大250万円へ|2つの特例による上乗せ
補助上限額は通常枠で50万円、賃金引上げ特例とインボイス特例を併用すると最大250万円まで広がります。補助率は3分の2が基本です。
| 申請枠 | 補助上限額 | 補助率 |
|---|---|---|
| 通常枠 | 50万円 | 3分の2 |
| 賃金引上げ特例(上乗せ) | +150万円 | 3分の2(赤字事業者は4分の3) |
| インボイス特例(上乗せ・併用可) | +50万円 | 同上 |
賃金引上げ特例は、対象期間に在籍する従業員の給与支給総額を年平均3%以上増加させる計画がある場合に選べます。整備士不足への対応として賃上げを検討している整備工場は、特例の対象になりやすいはずです。
インボイス特例は、免税事業者からインボイス発行事業者に転換した小規模事業者が対象です。個人経営の整備工場が、インボイス転換のタイミングで申請を検討するケースも少なくありません。両特例は併用できるため、通常枠の50万円と合わせて最大250万円まで補助上限を引き上げられます。
12月15日締切の第20回|発注前に済ませておく手続き
現在進行中の第20回公募は、2026年12月15日17時が応募締切です。採択発表は2027年3月頃が見込まれています。
中小企業庁が公開した第20回公募要領の案内によると、公募要領は2026年5月27日に公開され、申請受付は2026年11月5日に始まりました。事業支援計画書の発行受付は応募締切より前に締め切られる運用になっています。

申請の前に、必ず管轄の商工会議所・商工会へ相談し、事業支援計画書(様式4)の発行を受けてください。これがないと申請自体ができません。第20回は事業支援計画書の発行受付が2026年12月4日までとなっており、応募締切より前に締め切られる点に注意が必要です。
電子申請システムjGrantsから申請し、採択発表後に交付決定通知が届いてから発注・契約に進みます。交付決定前に発注すると、その経費は補助対象から外れます。
車検の繁忙期(3月・9月)に看板やHPの刷新が重なると、対応が後回しになりがちです。閑散期に事業計画書の作成から発注までを進め、繁忙期には新しい導線が動いている状態にしておくのが理想的な逆算です。
自動車整備工場が申請でつまずきやすい2つの失敗パターン
整備工場でつまずきやすいのは、事業支援計画書の取得遅れと、経費区分の誤認識の2点です。制度自体の難しさより、準備の段取りが原因になりがちです。
1つ目は、商工会議所への相談を後回しにして、事業支援計画書の発行締切に間に合わなくなるケースです。応募締切だけを見て準備を進めると、書類の発行締切を見落としがちになります。
2つ目は、代車や営業車の購入費を機械装置等費として申請してしまうケースです。「業務で使うから」という理由だけでは、汎用性の高い車両は対象になりません。事業計画書の作成段階で、対象外経費が含まれていないか確認してください。
中小企業庁の採択結果を集計した行政書士事務所の解説によると、第16回は申請7,371件に対し採択2,741件で、採択率は37.2%まで低下しました。採択率の低下傾向は、事業計画書の完成度が明暗を分けていることの裏返しでもあります。個人事業主の採択率と対策は小規模事業者持続化補助金|個人事業主の採択率47.2%と対策でも詳しく解説しています。
当社はAI導入補助金の登録支援事業者として、整備業からの補助金活用の相談も受けてきました。持続化補助金の相談でも、事業支援計画書の取得タイミングと経費区分の誤認識で立ち止まるケースを繰り返し見ています。
自社が補助金の対象になるかどうかは、3分の適性診断(無料・8問)で確かめられます。登録は不要で、その場で点数が出ます。
まとめ: 整備業は「新規顧客の獲得」を軸に経費を組み立てる
小規模事業者持続化補助金は、自動車整備業でもサービス業として従業員5人以下であれば申請できる制度です。看板・チラシ・HP制作費まで対象になりますが、部品代・外注修理費・汎用車両は対象外という線引きを最初に理解しておく必要があります。
「何を買うか」ではなく「その投資でどんな新規顧客・問い合わせにつながるか」を先に言葉にすることが、事業計画書を通す一番の近道です。第20回は2026年12月15日締切、事業支援計画書の発行はそれより前に締め切られるため、商工会議所への相談は早めに動いてください。
自社が対象要件を満たすか、どの制度を使うべきか迷う場合は、無料相談で申請要件から一緒に確認できます。設備投資の規模が大きい場合はものづくり補助金、ITツール導入が中心の場合はIT導入補助金との使い分けも、あわせてご相談ください。
