ものづくり補助金は2025年度(第23次公募以降)、給与を支払う従業員が1人以上いる個人事業主なら申請できます。補助率は小規模事業者で2/3、上限額は従業員5人以下なら750万円が目安です。本記事では対象要件・必要書類・補助率と上限額・申請から交付までの流れを、2026年8月時点の情報でまとめて解説します。
※ 2026年8月時点の情報です。ものづくり補助金は第23次公募の内容を基準にしていますが、第23次を最後に新事業進出補助金と統合され、後継制度の公募が始まっています。今から申請する場合の扱いは本文で解説します。
この記事でわかること
- 2025年度のものづくり補助金に個人事業主が申請できる条件
- 通常枠の補助率と上限額の目安
- 個人事業主が用意する必要書類
- 申請から交付までの流れと採択のポイント
ものづくり補助金2025年度は個人事業主でも申請できるか
個人事業主も、要件さえ満たせば法人と同じ条件でものづくり補助金に申請できます。
私たちは登録支援事業者として相談を受ける中で、「個人事業主だから対象外では」と思い込んで相談すら諦めていた事業者に何度も出会いました。実際には要件を満たせば法人と同じ土俵で申請できます。
ただし、給与を支払う従業員が1人もいない状態では基本要件を満たせず、申請自体ができません。この点の詳しい理由はものづくり補助金は個人事業主1人だと対象外?23次の結論で解説しています。
中小企業者・小規模事業者の判定は、資本金や従業員数によって業種ごとに異なります。個人事業主の多くは小規模事業者に該当しますが、詳しい基準はものづくり補助金は資本金オーバーでも対象?中小企業者7区分で確認できます。
なお電子申請自体に手数料はかかりません。費用がかかるのは事業計画書の作成を専門家に依頼した場合の相談料や、対象経費そのものだけです。申請の準備段階でお金がかかるわけではないので、まずは公募要領を読むところから始められます。
対象になる基本要件4つ|個人事業主が満たすべき条件
個人事業主が満たすべき基本要件は、付加価値額・給与支給総額・最低賃金・従業員数に関する4つです。

1つ目は付加価値額の要件。付加価値額は営業利益・人件費・減価償却費の合計で、年平均3.0%以上の成長目標を設定します。
2つ目は給与支給総額の要件です。従業員1人あたりの給与支給総額を、年平均3.5%以上増やす計画が必要です。計算の具体的な手順はものづくり補助金の給与支給総額とは?個人事業主の計算3ステップにまとめています。
3つ目は事業場内最低賃金の要件。事業所内で最も低い賃金を、地域別最低賃金より30円以上高い水準に保つ必要があります。
4つ目は従業員数に関する要件です。給与を支払う従業員が1人もいない場合、2つ目の要件そのものを計算できず申請できません。
この4つに加えて、加点項目も採択の可否を左右します。経営革新計画の認定や、事業場内最低賃金の上乗せ達成といった加点項目を1つでも多く満たすと、審査で有利になります。個人事業主は事業実績の証明資料が法人より少ない傾向があるため、加点項目で補う意識が特に重要です。
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 第23次公募要領では、これらの要件を満たせない場合、交付決定後であっても補助金の返還対象になりうると明記されています。
通常枠の補助率と上限額|従業員数別の目安
通常枠の補助率は中小企業が1/2、小規模事業者が2/3で、上限額は従業員5人以下なら750万円が目安です。
| 従業員数 | 通常上限額 | 大幅賃上げ特例 |
|---|---|---|
| 5人以下 | 750万円 | 850万円 |
| 6〜20人 | 1,000万円 | 1,250万円 |
| 21〜50人 | 1,500万円 | 2,500万円 |
| 51人以上 | 2,500万円 | 3,500万円 |
個人事業主の多くは従業員5人以下の区分に当てはまるため、通常枠では750万円が上限の目安になります。大幅賃上げ特例は、最低賃金の上乗せ要件を満たすと上限額が引き上がる仕組みです。
補助率は、個人事業主が小規模事業者に該当すれば2/3、中小企業者の基準までの規模なら1/2です。判定基準はものづくり補助金は資本金オーバーでも対象?中小企業者7区分で自社の区分を確認しておくと、計画が立てやすくなります。
補助金エージェントのものづくり補助金ガイドでも、従業員規模に応じた上限額の目安が同様の水準で紹介されています。
個人事業主が用意する必要書類一覧
個人事業主の必要書類は、GビズIDプライム・事業計画書・直近の確定申告書の3種類が基本になります。
関連して、開業届の電子申請|個人事業主がe-Taxで出す5ステップもあわせてご確認ください。 事業計画書はA4サイズ10ページ以内で作成し、投資内容や数値目標の根拠を具体的に記載します。確定申告書は、白色申告なら収支内訳書、青色申告なら青色申告決算書をあわせて提出します。
政策加点を希望する場合は、開業から日が浅いことを示す開業届の写しなど、追加書類が必要になることがあります。
- GビズIDプライム(電子申請に必須。取得に2週間程度かかる場合があります)
- 事業計画書(A4・10ページ以内。投資計画と数値目標を記載)
- 確定申告書(直近分。白色は収支内訳書、青色は青色申告決算書を添付)
- 見積書(補助対象経費が50万円以上の場合、原則2社以上から取得)
- 労働者名簿・賃金台帳(給与支給総額の要件を証明する資料として提出を求められる場合があります)
労働者名簿や賃金台帳は、従業員1人あたりの給与支給総額を計算する根拠資料になります。税理士に依頼している場合は、確定申告と同じタイミングで整理しておくと準備がスムーズです。
GビズIDプライムの発行には身分証明書の提出と審査が必要です。「申請直前に慌てて取得しようとして間に合わなかった」という相談を、私たちも受けたことがあります。公募開始と同時に取得手続きを始めるのが安全です。
申請から交付までの流れ|GビズID取得から実績報告まで
申請から交付までは、GビズID取得から実績報告まで大きく5つのステップで進みます。

GビズIDプライムを取得したら、事業計画書の作成に進みます。投資する設備やシステムが付加価値額の向上にどうつながるかを、数値で示すことが重要です。
事業計画書が整ったら、電子申請システム(jGrants)から提出します。提出後は審査を経て採択発表があります。中小企業経営支援事務所のコラムによると、第23次公募は申請締切から約3ヶ月後の2026年8月上旬に採択が発表されました。
中小企業基盤整備機構の公式サイトによると、第1回の申請受付は2026年8月31日に始まり、応募締切は枠により9月30日または10月30日です。
GビズIDプライムの取得や事業計画書の作成といった準備の進め方は本記事の内容と共通しますが、付加価値額・給与支給総額の伸び率など数値要件は変更されています。申請前に最新の公募要領を必ず確認してください。
交付決定前に発注・契約した経費は補助対象になりません。採択されても、交付決定の通知を受け取るまでは設備の発注を待つ必要があります。
交付決定後は、事業計画に沿って設備投資やシステム導入を進め、完了後に実績報告書を提出します。実績報告が承認されると、補助金が入金される流れです。
対象経費の考え方は業種によって異なります。製造業での具体例はものづくり補助金は製造業でどう使う?対象経費3つと上限4,000万円、飲食業での事例はものづくり補助金は飲食店で使える?採択事例3パターンで紹介しています。
個人事業主の事業計画書で採択率を上げるポイント
個人事業主の採択率を上げるには、数値目標の根拠と実現可能性を具体的に書くことが欠かせません。

法人と比べ、個人事業主は事業実績の証明資料が少なく、審査で不利になりやすいとされています。その分、数値目標の算出根拠を具体的に示すことで説得力を補えます。
私も相談の現場で、「売上を伸ばしたい」という抽象的な計画書のまま提出しようとしていた個人事業主を何人も見てきました。加点項目を意識し、賃上げ計画や生産性向上の根拠を数値で積み上げることが、採択への近道です。
個人事業主は法人ほど設備投資の予算が大きくないケースが多く、投資対象を1〜2点の設備やシステムに絞り込み、その効果を集中的に説明する計画のほうが審査側に伝わりやすくなります。あれもこれもと投資対象を広げるより、絞り込んだ計画の方が数値目標との整合性も保ちやすくなります。
当社は登録支援事業者として、対象ツールの選定から申請書類の作成、採択後の実績報告まで一貫して支援しています。事業計画書の数値根拠づくりに迷う場合は、無料相談で状況を伝えてください。
個人事業主が陥りやすい失敗と注意点
個人事業主によくある失敗は、従業員要件の見落とし、書類不備、交付決定前の発注の3つです。
採択発表後でも、交付決定の通知を受け取る前に発注・契約した経費は補助対象外になります。必ず交付決定を待ってから動いてください。
1点目は、従業員がいない状態のまま申請しようとする失敗です。給与支払いの実績がある従業員が1人もいない場合、賃上げ目標を設定できず申請自体が通りません。
2点目は、確定申告書の添付漏れ。白色申告と青色申告で必要な書類が異なるため、事前に自分の申告方法を確認しておく必要があります。
3点目は、採択後の勇み足です。交付決定前に設備を発注してしまうと、その経費は補助対象から外れてしまいます。
補助金全般に共通する申請の失敗パターンはAI導入補助金の申請に失敗する5つの原因と対策でも整理しています。制度が違っても、書類準備の考え方には重なる部分があります。
もう一つ見落としがちなのが、公募回ごとの要件変更を確認しないまま準備を進めてしまうケースです。ものづくり補助金は公募のたびに賃上げ水準や加点項目が見直されます。申請直前ではなく、公募開始のタイミングで最新の公募要領を確認する習慣をつけておくと、後になって要件を満たせないと気づく事態を避けられます。
自社が補助金の対象になるかどうかは、3分の適性診断(無料・8問)で確かめられます。登録は不要で、その場で点数が出ます。
まとめ: 個人事業主はまず基本要件と書類準備から始める
ものづくり補助金は2025年度(第23次公募以降)、給与を支払う従業員が1人以上いる個人事業主なら申請できます。補助率は小規模事業者で2/3、上限額は従業員5人以下なら750万円が目安です。
必要書類はGビズIDプライム・事業計画書・確定申告書が基本で、交付決定前の発注は補助対象外になる点に注意してください。申請から採択発表までは約3ヶ月かかるため、公募開始と同時にGビズIDの取得から動き出すのが安全です。
従業員がいない状態のままでは基本要件を満たせません。該当する場合は、ものづくり補助金は個人事業主1人だと対象外?23次の結論で代わりの選択肢もあわせて確認してください。
数値目標の根拠づくりや必要書類の準備は、制度に詳しい第三者の目を通すと精度が上がります。私たちは2020年3月の創業以来、大阪市東成区を拠点に登録支援事業者として申請支援に携わってきました。制度活用に迷う場合は、無料相談で状況を伝えてください。
