ただし、見積書の全部が対象外になるわけではありません。登録されたAIツールを使い、その設定や研修を頼む形なら、多くの行が補助対象に入ります。この記事では、見積書の行ごとの見分け方を先に示します。
※ (10月15日に事務局の公式ページで確認)。
この記事でわかること
- 通常枠で補助対象になる経費の区分
- AIシステムの見積書で対象になる行・ならない行
- 見積額による補助額・補助率と賃上げ要件
- 今から申請した場合の締切と導入の時期
AIシステム開発の費用は補助対象経費になる?
一から作るAIシステムの開発費は、デジタル化・AI導入補助金の補助対象の区分にありません。対象は、事務局に事前登録されたITツールです。
事務局は、公募に先立ってIT導入支援事業者とITツールの登録を受け付けています。申請者は、登録済みのツールの中から選びます。
AIについては、2026年度から扱いが明確になりました。ITツール検索で、AI機能を持つツールには「AIツール」と明記されます。支援事業者がAI機能を有するとして申請したツールだけが、AIツールとして扱われます(事務局のお知らせ)。
つまり「AIシステムを作る」のではなく、「登録されたAIツールを導入する」形にできるかが分かれ目です。
自社でゼロからAIを開発する場合に使える別の制度は、AI開発補助金とは?導入型との違いと使える3つの制度で整理しています。
通常枠の補助対象経費にはどんな区分がある?
通常枠の補助対象は、ソフトウェア・オプション・役務の3つの区分で、ソフトウェアは必ず含めます。オプションと役務だけでは申請できません。

事務局の通常枠のページに載っている区分は、次のとおりです。
| 区分 | 中身 | 注意点 |
|---|---|---|
| ソフトウェア(必須) | ソフトウェア購入費・クラウド利用料 | クラウド利用料は最大2年分 |
| オプション | 機能拡張・データ連携ツール・セキュリティ | ソフトウェアと一緒に申請する |
| 役務 | 導入・活用コンサルティング、導入設定・研修、保守サポート | 登録ツールの導入に伴うもの |
ソフトウェアには条件があります。1種類以上の業務プロセスを持つものが必要で、汎用プロセスだけのソフトウェアは申請できません(事務局の通常枠のページ)。
対象になるツールの分野と、対象外との境目はAI導入補助金の対象ツール6分野で確かめられます。
AIシステムの見積書はどの行が補助対象になる?
見積書の行のうち、登録ツールの購入・クラウド利用料・導入の役務は対象で、独自の開発費と機器は通常枠の区分にありません。行を区分に当てはめれば、対象になる金額が見えてきます。

私たちが見積書を見るときは、まず行を3つに分けます。区分に当てはまる行、区分に無い行、どちらか判断の要る行です。
| 見積の行 | 通常枠での扱い | 理由 |
|---|---|---|
| 登録されたAIツールのライセンス | 対象 | ソフトウェア購入費 |
| クラウドの月額利用料 | 対象(最大2年分) | クラウド利用料 |
| 初期設定・社内研修・保守 | 対象 | 役務 |
| 自社専用の機能を一から作る開発 | 区分に無い | 登録ツールではない |
| パソコン・サーバーなどの機器 | 区分に無い | 通常枠の区分に記載が無い |
判断の要る行は、ツールの「機能拡張」です。登録されたオプションとしての機能拡張なら対象に入ります。一方、登録に無い作り込みは、名前が「カスタマイズ」でも区分に当てはまりません。
見積書に「開発一式」とまとめて書かれた行は、そのままでは中身を判断できません。ベンダーに、登録ツール名と役務の内訳に分けた見積もりを頼んでください。
補助額と補助率は見積額でどう変わる?
補助額は、ツールが持つ業務プロセスの数で上限が決まり、補助率は原則1/2です。対象経費の合計に補助率を掛けた額が、上限の範囲で補助されます。
| 業務プロセスの数 | 補助額 | 補助率 |
|---|---|---|
| 1つ以上 | 5万円以上150万円未満 | 1/2以内(条件で2/3以内) |
| 4つ以上 | 150万円以上450万円以下 | 1/2以内(条件で2/3以内) |
2/3以内になるのは、最低賃金近くで雇う従業員が多い事業者です。2024年10月〜2025年9月に3か月以上、2025年度改定の地域別最低賃金未満で雇う従業員が全従業員の30%以上いる場合に当たります。
見積額が大きく、補助額が150万円以上になる申請は賃上げの要件が重くなります。公募要領では、1人当たり給与支給総額を年平均3%以上増やすこと、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上高くすること、従業員への表明が求められます。
条件で分けると、判断は次のとおりです。
- 補助額が150万円未満に収まる → 賃上げの重い要件を避けられる
- 150万円以上が必要で、賃上げの計画を立てられる → 4プロセス以上のツールで申請を考える
- 150万円以上が必要だが、賃上げの見通しが立たない → 導入を2段階に分けるか、範囲を絞る
自社でいくら補助されるかの目安は、AI導入補助金はいくらもらえる?で計算の仕方を確かめられます。
一から作るAIシステムはどの補助金を探す?
登録ツールで業務が回らず、一から作る必要があるなら、デジタル化・AI導入補助金ではなく別の制度を探します。どちらに進むかは、見積の中身で決まります。
- 既製のAIツールと設定・研修で業務が回る → デジタル化・AI導入補助金で申請する
- 既製ツールに、登録されたオプションを足せば足りる → 同じくデジタル化・AI導入補助金
- 見積の大半が自社専用の開発費 → 開発を対象にできる別の制度を探す
3つ目の場合、AI導入補助金に無理に当てはめないでください。対象にならない行が多いと、補助される額が見積額に比べて小さくなります。
開発を対象にできる制度の候補と上限額は、AI開発補助金とは?にまとめています。どの制度でも、対象経費の区分は公募要領で確かめてください。
今から申請すると導入と支払いはいつになる?
通常枠の今の締切は2026年10月30日17時で、交付決定は12月10日の予定です。契約・導入・支払いは交付決定の後に進めます。

事務局のスケジュールでは、10月30日締切の回は次の日程です(事務局のスケジュール、2026年10月15日確認)。
| 手続き | 日程 |
|---|---|
| 交付申請の締切 | 2026年10月30日(金)17:00 |
| 交付決定 | 2026年12月10日(木)予定 |
| 事業実施期間 | 交付決定〜2027年5月31日(月)17:00予定 |
| 事業実績報告の期限 | 2027年5月31日(月)17:00予定 |
締切まで2週間ほどです。gBizIDプライムが無い場合、この回に間に合うかを先に確かめてください。次の回の日程は、事務局が確定した時点で公表されます。
採択後の報告の書き方はAI導入補助金の実績報告の書き方で確かめられます。
見積書のどの行が補助対象になるか、一緒に確かめます。申請書類はお客様が作成し、当社は内容の確認と助言を行います。
AI導入補助金の無料相談補助対象経費でつまずく3つの失敗は?
よくある失敗は、交付決定前の契約、開発費の混在、3年分のクラウド計上の3つです。どれも見積と契約の順番で防げます。
1つ目は、交付決定の前に契約・支払いをしてしまう失敗です。起きるのは、締切に合わせて急いでベンダーと契約したときです。事業実施期間は交付決定から始まるため、その前の契約・支払いは期間の外になります。契約書の日付は交付決定の後にしてください。
2つ目は、開発費を混ぜたまま申請しようとする失敗です。原因は「開発一式」とまとめた見積書です。対象の行と区分に無い行が分けられず、計画の金額が組めません。見積を行ごとに分けてもらうのが避け方です。
3つ目は、クラウド利用料を3年分以上で計算する失敗です。クラウド利用料の対象は最大2年分です。3年契約の見積でも、補助の計算には2年分だけを入れます。
見積と相談は申請前に進めてかまいません。契約・発注・支払いは交付決定の後に回してください。
私たちは登録支援事業者として、対象ツールの選定から、申請に向けた相談・助言、採択後の実績報告まで支援しています。申請書類はお客様が作成し、当社は内容の確認と助言を行います。
使えそうな補助金があるかどうかは、3分の適性診断(無料・8問)で確かめられます。登録なしで、その場で点数が表示されます。
まとめ: 見積書を行ごとに分けることから始める
デジタル化・AI導入補助金で補助されるのは、登録されたAIツールと、その導入の役務です。一から作る開発費と機器は、通常枠の区分にありません。
今日できる一歩は、手元の見積書に「対象・区分に無い・要確認」の印を付けることです。「開発一式」の行があれば、ベンダーに内訳を頼んでください。
見積書のどの行が補助対象になるか、一緒に確かめます。申請書類はお客様が作成し、当社は内容の確認と助言を行います。
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